「ぅー…」
「もーボリスってば飲み過ぎだよ」
「気持ち悪いー……」

今日もまた脱獄囚二人を捕らえ損ねてしまった。いい加減始末書の量も100に達しそうだ。そんなわけで憂さ晴らしのために久し振りに飲みに行こうと言うことになったのだがいつにも増して不機嫌だったボリスが酷いやけ酒をしたのだ。コプチェフは車の運転をしなければならないためノンアルコールしか飲まなかったのだが。酔い潰れたボリスを車の助手席に寝かし車を出す。とにかく早く帰ってあげないと。

「大丈夫?」
「大丈夫じゃないー…」

ボリスの顔は真っ赤で目も虚ろで。間延びした声にはいつもの刺々しさは成りを潜めている。心配する反面可愛いなー、なんて場違いなことを考えている間に寮に到着した。

「ボリス着いたよ」
「……おんぶ」
「…………え?」
「おんぶしろバカコプ」

え、何ボリスってば誘ってんの?……いやいやいや落ち着け俺!ボリスは気持ち悪くて歩けないんだよね!だからおんぶなんだよね!運転席から降り、助手席に回る。車のドアを開けて背を向けるとボリスはのろのろと起き上がりコプチェフの背中に凭れ掛かった。

「ちゃんと掴まっててね」
「ぅー…」

そう言うと回された腕に力がこもる。って言うか、ボリス顔近い。ああなんかもうほんっと可愛い!!

「コプ、早く帰ろ…?」

甘えた声で囁かれるともう我慢も限界で。うん、決定。部屋戻ったら襲っちゃおう。……俺は悪くない、はず。ボリスが可愛いのが悪いんだし!と、意気込んだのだが。

「…あれ?ボリスー?」
「………」
「…嘘、寝ちゃった?」

ボリスはすっかり寝息を立てていて。へこまないと言えば嘘になるが滅多と見れないボリスの寝顔にまあ良いか、とへこむ気持ちもどこかに吹き飛んでしまった。


天の邪鬼が素直になれた日
(よし、明日はちゃんと襲っちゃお!)

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酔っ払いボリスはやたらとデレるんじゃないかなー…普段がツンだし←
って言うか、いつにも増して下っ手くそな文になった…




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