今日は記録的な寒さだった。 「夢、見たんだ。すっげー寒くて真っ暗な場所で親父とお袋が血流して死んでて、小さい俺がその前で泣いてるって言う夢。なんか昔の事思い出して胸糞悪ぃ…」 「だからって私に当たるのやめろ」 「上司が弱ってんだから慰めてくれよ」 「寒いと人間って弱くなるんだって」 「へえ」 「暖めてあげるから情けない事言わないでアンタらしくない」 毛布越しに伝わってくるキルネンコの体温は高いものとは言えなくて、コイツでも気温に左右されるのかと驚いた。どんなに暑い夏でもどんなに寒い冬でもいつも涼しげな顔をしているくせになんとなく震えている様に感じた。やっぱり今日はすっごく寒いんだなと思いながらとてもじゃないけど収まらないキルネンコの身体を腕の中に閉じ込めた。 「…お前が俺を抱くとか百年早えよ」 その声に僅かばかりの安堵が含まれている事に安心と同時に動揺もした。いつにも増して調子を狂わされる。こんなに弱いコイツなんて見たくない。いつもみたいに、ムカつくけど笑っていれば良い。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 昔に書き殴りそのまま消すに消せず晒されたものシリーズ第1弾 |