「ショケイは知らない間にどっか行っちゃいそうだから心配だ」

カンシュは時折そう言って私の手を握る。体温が低めの私には高めのカンシュの手はとても温かく感じる。今だって、そうならない様に祈る様に。手を握られるのは好きだった。触れられるのが好きなのかもしれない。小さい頃から死体の相手をしていたせいだと思う。他人の温かさというものにひどく敏感になった。

「どこにも行かないよ」
「そうだろうけどさ。なんとなく、な」
「変なの」

自分で自分を傷付けていた時もカンシュは凄く怒った。どうしてこんな事するんだって。そうする事で自分がちゃんと生きているって分かるんだと言ったらカンシュは泣いた。それから時々手を握る様になった。大丈夫なのに、カンシュは心配性だ。切る事は少なくなったけれど何年も切り続けていた腕はそう綺麗には治らない。ちゃんと手当てをしなかったものも有る。過去は、消えない。

「ショケイの手は冷たいな」
「カンシュは、温かいね」
「…ちゃんと生きてるだろ?」
「……うん」

「なんとなく」なんて理由はきっと嘘。カンシュは私が生きてるって教えてくれているんだ。


君が振り向くのは、あたしが消えそうで怖いから

(いっそ泣いてくれればもっと安心出来るのに)
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カンシュはショケイみたいな危なっかしい子は放っておけない



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