気付けばあの人が好きだった。一目惚れだったかもしれない。その綺麗な目が僕を見てくれなくても良いと思っていた。ベッドから眺めていられるのならそれで。でもその内に欲はどんどん大きくなっていった。一秒でも一瞬でも良いからこっちを向いて。ねえ、ねえ。 「好きです」 溢れ出たこの言葉もきっと空気に掻き消されてしまうんだ。こんなに近くに居るのに届かないんだきっと、きっとね。でも予想に反して届いてしまったのだその言葉は。それがあの人との関係の終わりの始まりになった。 「…何」 「え…」 「何て言った」 「あ、ごめん、なさい、その」 「何て言った」 「…好きですって…言いました」 「…」 「おかしいですよね、男なのに、そんなこと」 気持ち悪いと思われるかもしれない。自分でもおかしいと思うし。後の生活をどうやって過ごせば良いだろう。大変な事をやらかしてしまった。ぎゅうと手を握って俯いていると急に辺りが暗くなって、顔を上げるとキレネンコさんで明かりが遮られていた。顔に伸びてきた腕に僕はただされるがままで。 「あ」 言葉を紡ぐ間も無くあっさりと唇を奪われたのだった。どうしよう好きだ。滅茶苦茶にされたい。一度目の口付けは優しいもので、しかし二度目の口付けは身体の力が抜け切ってしまうほどに深いものだった。それで身体は離れていって戸惑っていると「来い」と言われて僕はキレネンコさんのベッドへ向かった。 蜜で溺れ死ぬ (この身体の熱を冷ましてくれますか) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ふほぉー、読み返したらクッソ恥ずかしい← ← |