「ほらフレイキー痛えか?痛えよな?痛えよなあ!!」 「ぁ、っ───」 青い痣が身体のあちこちに残される。痛い。痛いけどこれがこの人の愛情表現なら私は何度だって受け止められる。フリッピーは、荒い息を繰り返し床に這いつくばっているフレイキーの長い髪を容赦無く掴み顔を上げさせる。口の中を切ったらしく血が混じった涎がだらりとフレイキーの顎を伝った。 「……イイ顔」 「…ぁ、…床…涎…」 「んなこと気にすんな」 「で、でも汚な…ぅっ……」 フリッピーは髪を掴んでいた手を離し、力無く床に沈んだフレイキーに馬乗りになると今まで散々に殴っていた彼女の身体に、今度は慰めるように口付けをする。フレイキーはその様子をじっと眺めていた。その瞳には自分を苦しめる者への憎しみでは無く寧ろ自分に甘える者への愛しさが宿っていた。確かに彼は彼女に甘えていた。これが甘える行為だと言えば世間からはおかしなことだと非難されるかもしれない。だけど『フリッピー』が殺しもせず名前を呼ぶのはフレイキーただ一人なのだ。 「フレイキー」 一回りも二回りも大きな身体に力一杯抱き締められてあちこちが痛かったけれどそれもまた彼からの愛情だとして受け止めた。 「愛してる」 「……うん」 「お前は」 「……大好きだよ」 「………」 「…貴方が、好き」 そう言うといつもフリッピーは泣く。泣いて私を抱き締めたまま眠ってしまう。子供みたいだ。フリッピーは独りが寂しいだけ。それを私は分かっているつもりだ。だからちっとも辛くない。 フリッピーの心の痛みに比べたら私の身体の痛みなんて、 血痕の澱 (でもね、いつまで経っても泣き止んでくれないの) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ うん、まあ結局二人ともラブラブなんです← ← |