コプチェフはモテる。理由は簡単。顔はそこそこ人付き合いも良いし気が利く。おまけに二十四歳という若さでミリツィアの腕利きドライバーともなれば世の女はホイホイくっついてきやがる訳で。全くもって浅はかな奴等だと思う。女というのはどうも外面や肩書きだけで人を判断しやがる奴が多い。俺の偏見かもしれないが。内面はどうでも良いのか内面は。あんな顔してヘタレの変態ドMでも良いのか。…いや、今のは言い過ぎた。仮にもそんな奴が俺の恋人だとは思いたくはない。ああ、また何か女に絡まれてやがる。きゃいきゃい喚く女の声は不快以外の何物でも無い。それに香水の香り…いや、もはや刺激臭であるソレが鼻を突く。少し離れた場所でさえこれだというのだからベタベタとくっつかれているコプチェフは尚更だろう。匂いが移るかもしれない。……冗談じゃない、一日ラーダの中でそんな匂いを嗅ぐなんて御免だ。とっとと離れろクソ。つーか、お前もいちいち相手をするから駄目なんだ。無視するか適当にあしらうかすれば良いのに。少しは俺の事も考えて欲しい。

「ボリス、皺酷い」

突然眉間を摘まれて叫びそうになったがなんとか堪える。いつの間にか女は消えていて目の前にはコプチェフ一人。へらりと笑うこいつに俺の今までの苛々は何だったのかと問いたくなったが面倒臭くなってやめた。重たい溜め息が口から吐き出される。

「誰のせいだ」
「……随分とお待たせしました」
「…まあ、お前が悪い訳じゃ無えし」

くるりと背を向けて歩を進める。その後ろからコプチェフが着いて来て、あんまり近寄られると先程の香水の匂いが後を引いて漂ってくるので速めに歩いた。クサいったらありゃしない。色々と敏感な自分には余計に辛い。

「ボリス待ってよ」
「お前が遅えんだよ」
「嘘。いつもより歩くの速いよ」
「……待って欲しけりゃその匂いどうにかしろ」
「へ?」
「さっきの奴の………クサい」
「ああ、キツかったよね……って、ボリス」
「んだよ」
「それヤキモチ?」

……………。

「はあ????」
「うわ、そんな露骨に嫌そうな顔しないで!!」
「だっ…おま、馬鹿じゃねえの」
「あ、そんな目で俺を見る!」

本当に、本当ーに馬鹿じゃないかと思った。視線に今の気持ちを全て乗せ蔑んだ目をヘタレ紫頭に向けると、一瞬たじろぎはしたものの反抗的な目を遠慮がちにこちらに向けた。生意気な。

「お、思った事言っただけじゃん!そんな変な事言ってないし」
「お前の存在自体が手遅れなんだよ」
「ひっどい!!!」

やはりコイツはぎゃーぎゃー喚いている方が似合う。自然苛々も治まり仕方が無いから歩く速度を緩めてやった。もう女の匂いはしない。

…そりゃ、ヤキモチだって焼く。

お前は俺のモノなんだから。


その鼓動さえ僕に従属する
(じゃあボリスは俺のモ(俺は俺のモンだろうが)
(ボリス!!??)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
やっとこさ埋めました企画っ…!
遅え…遅えよ←
ないるさん、リクエストありがとうございました!!
書き直し?勿論です←
お題に沿えているのか不安は有りますがこんなもので良ければどうぞ!




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