何百回何万回と考えても同じ答えしか出ない。辛いなら、苦しいならいっそ切り捨ててしまえば良いのにどうにも出来ない。

「あ、ボリス。今日は先に帰ってて」
「……用事か?」
「飲みに行かないかって言われてさ。断る理由も無いしまあ良いかなって」
「…分かった。あんまり遅えと先に寝てるぞ」
「え、俺今日鍵持って来てないんだけど…」
「じゃあ閉め出しだな」
「早く帰ります!」

全くこいつはからかい甲斐が有ると言うか何と言うか。それにしても久し振りに一人になる。夕飯は出来上がりのものでも買うか。わざわざ一人の為に作るのも面倒臭い。そんなことを考えて気を紛らわせようとしているが実際にはコプチェフが居ないということに動揺していた。動揺と言う言葉が当てはまるのかは分からないが胸がぐらぐらする様なそんな感覚。ガサゴソと帰り支度をしているコプチェフを見ると余計に。手を伸ばしたくて出来なくて何なんだこれは。ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう。ああもう黙れ!!

「…ボリス?」

知らず握り締めていた拳をほどきハッとして顔を上げた。すぐ近くにコプチェフの顔が有って。また手が伸びそうになってやめた。

「どうかした?」
「……何が」
「何がって訳じゃ無いけど、泣きそうだから」
「………馬鹿言ってねえで早く行け。呼ばれてんぞ」
「あ……じゃあ行ってくるね」

バタバタと廊下を走っていく背中を目で追ってからようやっと手を伸ばした。でも掴みたかったものはここには無い。行ってしまったんだから。…自分も帰ろう。仕方無いからあいつが帰ってくるまで待っていてやろうと思う。自分でも変に真面目な奴だと思う。署を出ると空には星だけが点々と光っていた。今日は新月なんだな。こんなにも。こんなにも澄んでいる空なのに雨が降っているのか頬が濡れた。でも地面は少しも濡れてなどいない。だったら自分の所にだけ?おかしなこともあるものだ。分からないことだらけで嫌になる。早く。早く帰ろう。一体どうしてこんなにも惨めな気持ちになるんだろう。

答えはきっと分かっている。


積もる愛の裏側は胃酸でも溶かせなくて
(ただ認めたくないだけ)

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