数秒前までは普通に会話をしていただけだった。別段そういった雰囲気だったわけでもない。突然に、頬に何かが当たったのだ。それがフリッピーの唇だと理解するのにそう時間はかからなかった。だって離れる時に舐められたから。つまり俺は、キス、された。 「…………嘘…」 「びっくりした?」 「びっくり、って、言うか…」 だってだって俺は男でフリッピーも男で、だから男同士でキスなんてするわけがなくて。って言うか、キスなんか初めてだよ……えええ俺の初めて男の人…!?頭の中がごちゃ混ぜになって軽く目眩を覚えた。 「ごめん………嫌だった?」 「嫌とかじゃなくて、俺その、男…だ、し……」 「そうだね、フレイキーは男の子だ。でも僕は恋愛的な意味でフレイキーが好きなんだ」 フリッピーの長い指がフレイキーの唇をなぞる。深緑の瞳が近付いて。額がこつんと当たってお互いの吐息が交ざり合う。どきんどきん。心臓がうるさい。 「……フレイキー…」 今まで聞いたことがないような甘い声で名前を呼ばれて頭がぼうっとする。どうしよう雰囲気に飲まれてしまう。怖いような期待しているような。 「キスして良い?」 「…なんで俺なの?」 「愛してるから」 「……男なのに?」 「僕はフレイキーが好きなの。君自身が。だから男だとか女だとかは関係無いよ」 皆に優しいフリッピーが俺だけを求めてる。じっと見詰められて髪を撫でられてそんなの。 「……フリッピー」 「ん?」 「………キス、しても良いよ」 そんなの、断れるわけがないじゃないか。 「…ありがと」 薄い唇同士が重なって。啄むように何度も角度を変えられ、口付けはどんどん深いものへと変わっていく。お互いの舌が絡まって。あれ。あれあれ。なんかなんか。 「(俺、フリッピーのこと、好きだ)」 だって嫌じゃないから。 「(う、わ…息、上手く出来な、い)」 ずっと憧れていた。誰にでも優しくて強いフリッピーに。フリッピーみたいになりたいと幼い頃から思っていた。その憧れの人とまさかキスするなんて。しかも自分は男なのに。こんなこと誰が想像出来た?離したくなくて、これが夢じゃないんだと確かめたくて、フリッピーの背中に手を回してきつく抱き締める。酸素がどんどん奪われて思考さえも奪われて。最後に頭の中に残ったのは「好き」だけで。キスが終わると、ぎゅうっと抱き返された。「ありがとう、大好き」と言われれば俺の中の何かが弾けて。 これ以上、夢中にしないで もっともっと好きになっちゃうよ。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 軍臆♂! 突発過ぎて何だこれ…あ、いつもですね← またリベンジしたいです フレは男の子でも女の子でも可愛いと思うのですが← ← |