大潔


俺に腕があれば、抱き締めることも頭を撫でることも出来るのに。ペチュは気にしなくて良いと言ったけど、そういうことしたいし、してあげたい。

「俺に腕があったらって思う?」
「またその話?」
「だって」
「私は良いの。傍にいてくれればそれで」

肩にペチュの頭の重みが掛かる。ペチュニアの方を向くと肩から伸びるちゃんとした腕が見えた。白くて細くて綺麗。俺の半分しかない腕とは大違いで。羨ましい。ペチュは俺を抱き締められるのに。汗を拭いてくれるのに。どうして腕を失くす前にこの村に来なかったんだろう?好きな女一人護れないなんて男としてどうなんだろう?ペチュは優しいから俺に付き合ってくれているだけなのかもしれないとか、そんなこと考えたりして。

「ペチュ」
「なあに?」
「腕出して」
「……こう?」
「そう」

差し出された右腕の指先一本一本を嘗めて軽く食む。

「くすぐったいわ、ハンディー」
「…腕、食べたら生えてこねえかな」
「……馬鹿ね。生えないわ」
「夢の無いこと言うなよ」
「だってそうねって答えたら本当に私の腕食べそうだもの」

俺の目論見は全てバレバレってことですかペチュニアさん。ペチュニアはハンディーの唾液で濡れた指先を自分でもそっと嘗める。ハンディーはその口元に釘付けで吸い寄せられるようにペチュニアに顔を近付ける。それに気付いたのかペチュニアは嘗めていた手を退け、すっと目を閉じる。柔らかい唇と薄い唇と重なる。ああもうどうしてこんなにどこもかしこも綺麗なんだろう。本当に俺なんかが彼氏で良いのかな?

「ペチュ、俺のこと好き?」
「好きじゃなかったら大人しく指を嘗められるなんてことしないわ。他の人だったら気が狂いそうだもの」
「潔癖症だなぁ」
「貴方以外には、ね。抱き締めるのもキスするのも抱かれるのも貴方だから許せるのよ?」

くすくす。悪戯好きな少女のように笑う彼女のこの顔を知っているのは多分俺だけ。それってなんて幸せなんだろう。好きだ好きだ大好きだ愛してる。食べてしまいたいくらいに彼女を愛しく思う。彼女の滑やかな首筋に歯を立てる。ん、と声を漏らすペチュに欲が掻き立てられる。口を離すとそこは少し紅くなっていて。ああもう我慢出来ない。

「ペチュ」
「何?」
「シたいって言ったら怒る?」
「今更なこと言うのね?」
「良いの?」
「良いわ」

だから今日も満足させてね?




僕はそこに肉に惹かれる卑しい熱情を見た
俺が悪いんじゃなくて、誘う彼女が悪いと思うんだ。



リクありがとうございました!
ハンディーだけじゃなくてペチュも病んでしまいました;全然一方通行愛じゃないですね…お互いがお互いに依存しまくってます←
気に入らなければ言ってくださーい^^




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