出会いの数だけ別れがあるって言うけど。あの人が居ない日々を考えることなんて出来なくて。今日もまたカレンダーの印が増える。どうして時間は流れることしかしないのだろう。止まってくれれば良いのに。ふと同室の男を見る。相変わらずスニーカー雑誌を読んでいたため視線が合うことなど無いと思っていたのだが。

「……何だ」

彼の赤い瞳がこちらに向けられる。何となく胸の辺りがぎゅう、と痛くなって張り裂けそうになる。

「…、何でもないですよ。邪魔してごめんなさい」

笑おうとしたけど上手く出来るか心配で俯いてしまった。これでは逆効果だ。キレネンコは雑誌を閉じ浅い溜め息を吐いた。

「来い」

そう言われて彼のベッドへ近付くと手を引っ張られた。そのまま引きずり込まれるように堅い胸へと押し付けられる。鼻が痛い。

「あ、の」

体制を整えつつ顔を上げると意外に近くで目が合って叫びそうになったのを堪える。キレネンコは何も言わずまた抱き締めるとプーチンの頭を撫でた。大きな手だと思う。

「…そんな顔するな」

お前は笑っていれば良い、と。低く諭すように彼は言う。

「……はい」

僕は背中に手を回すことしか出来なくて。何度この手に安心を覚えたのだろうと考えて目を閉じた。


叶うならば
もし神様なんていうのが居るのなら。ほんの少しで良い、時間を止めて。

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シリアス目指したらこうなりました←
キレの存在が知らない間にプーの中で大きくなったみたいな




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