「こんにちはハンディー。早速だけど死んでくれる?」

腹に衝撃が走る。じわじわじわと痛みが脳に伝えられる。一瞬の出来事過ぎて頭が状況を理解するのに数秒を要した。

「ペ、チュ…?」
「あらハンディーったら真っ赤になっちゃったわねぇ」

クスクスと、普段の彼女なら見せないであろう歪んだ笑顔でペチュニアは笑う。一目見ておかしくなっていることは分かった。俺が何かしたのか、それとも偶然目についたのが俺だったのか。ペチュが俺の腹に刺していたナイフを引き抜くと内臓の血が逆流して口から溢れ出た。ぼたぼたと二人の間に血溜まりが出来て力が入らなくなってがくんと膝が折れた。

「っ、…俺、何かした?」
「貴方は私に何かしたと思うの?」

質問した筈が逆に聞き返された。分からないから聞いたんだけどな。でも思い当たる部分は、どこにも見当たらない。

「…思わない、けど」
「そうね、何もしてないもの」

なんだ何もしてないのか。……だったらどうして刺されたんだ。

「貴方はねぇ…何もしないのよ……なーんにも」

ペチュニアは弄っていたナイフを捨て、労るように優しくハンディーを押し倒した。腕の無いハンディーは抵抗することもなく大人しく組み敷かれる。

「私のことだけ見てくれれば良いのに…貴方は優しいから皆のこと見てるのよ……」

ペチュニアはハンディーの右目を手で慈しむようになぞり、

「私を見てくれない目なんて要らないわ………ねえハンディー、取ってしまいましょうか?」

返事をするより早くペチュニアの指が食い込んできて眼球を抉り取られる。ブチブチと視神経が切れる音が頭の中で響いて、痛みで逆上せたように意識が朦朧としてくる。

「ぅ、あぐ…ぁっ…ペチュ……」
「ごめんね痛いでしょう?左は残してあげるからそれで許して?」

無邪気に笑うペチュは本当に楽しそうで。普段が大人びている分可愛く見えた。なんてこの絶体絶命の時に俺の頭は何を考えているのか。

「ハンディー、私のこと見える?」
「…うん、、ペチュ…しか、見てな…い、から……」
「本当?」
「ほん、…と」
「本当に本当?」
「ほんと…に、…ほん、と」

そう言うと彼女は心底嬉しそうに笑った。ああ今日はよく笑った顔を見るなあ。こんなに笑顔を見ることが出来るのなら何度だって殺されても良いや。ペチュが満足するならいくらでもいくらでも殺されてあげよう。

「好き…大好き。私ね、愛してるの貴方のこと」
「俺も……愛して、る」
「ハンディー、キスしても良い?」
「…いーよ」

ペチュの身体が俺の身体と密着してああ服汚れちゃうなとか思っているのも束の間、ペチュの柔らかい唇が俺のと重なる。堪えられなくて触れるだけの口付けを深いものへと変えると時折ペチュから甘い吐息が漏れた。可愛いなぁ…明日ちゃんと告白してみよう。唇を離した時の彼女の顔と言ったらそれはそれは妖艶で。危うく勃ちそうだった。

思い切りペチュに抱き締められた俺は傷口と右目からの大量出血でその日を全うした。


あまいきょうき
結局は彼女も、俺も、狂っていたらしい。

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やってしまった感が否めない←
エログロ好きですあまり書けませんが…




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