どいつもこいつもオレになった途端に怯えやがって。鬱陶しい。俺もオレも同じフリッピーだってのに。どちらかが欠けてしまえばそれはフリッピーじゃない。オレ達はそういう関係なのだ。ガサリと物音がしてナイフを構える。考え事をしていたために気配に気付かなかった。オレとしたことが。しかしいつまで経っても出て来ない。痺れを切らしてオレから音のした方へ近付くとそこには見慣れた赤い髪が。

「よぉ、フレイキー?」
「ひぅあ!!??……ぁ、…フリッ、ピー……」
「何してる」
「……、」
「……こっち来いよ」

まあ来ないだろうけどな。だが予想に反してフレイキーは大人しく草陰から出て来た。珍しいこともあるものだ、なんて思っていたらこれまたびっくり。あろうことかオレに抱き着いてきやがった。一体何だと言うのか。しかも泣いてるし。訳分かんねえ。

「フレ、」
「……ん」
「あ?」
「……ごめん、ね」
「………」
「私…、止められなく、て……」
ふるふると、少し力を入れれば壊れてしまいそうな小さな身体が震えて。

「私はどっちのフリッピーも好きだから…」

突然、突然自分の欲しかった言葉が与えられて。一瞬何を言われたのか理解出来なかった。じわじわと言葉を噛み砕いていくにつれ目頭が熱くなっていく。……全くこいつには敵わねえなぁ。

「……泣くなうるさい」
「っ……だっ…だってえぇ……」
「だってじゃねえ馬鹿」
「……ぅ…」

少しキツく言えば小さくなるフレイキーがおかしくて。自分でも気付かないうちにフリッピーの口角は上がっていた。

「……嘘。ありがとうフレイキー」

気持ちもいつの間にか凪いでいて。恥ずかしそうに笑ったフレイキーの額に口付けを落とすと愛しさが溢れてきて仕方がなかった。小さな背中に手を回して抱き返す。

「「大好き」」

二人の声が重なって何もない空に木霊した。

明日はどうか、一人でも犠牲者が減りますように。


ただありきたりな幸福を希った
彼女を泣かせないためにも、

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
新年初の文章がこんなので良いのか……良いの、か?
書きかけていたのを仕上げたのですが…主題を見失いました←
駄文しか書けませんが今年もよろしくお願いしますm(_ _)m




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