「寒いー…」 毛布──と言っても薄い布切れ──にくるまりガタガタと身体を震わせるプーチン。Tシャツ一枚ではさすがのこいつも寒いらしい。と言うか、見ているこっちが寒くなってくる。 「大袈裟だろ…」 「キレネンコさんが丈夫なだけですよぉ…暑いのだって平気だったし…」 それはまあそうだが…いやしかし本当に見ているこっちが寒い。どうにかならないものか。 「(…仕方無いな)」 読んでいた雑誌を閉じ、浅い溜め息を吐く。吐き出された息は白くなって空気に掻き消された。…成る程、本当に寒いらしい。俺は寒くないが。 「プー」 「はひ?」 「来い」 「へ?」 「………」 「あ、は、はい!」 慌ててこちらに来た毛布を纏ったままのプーを後ろから抱き締める。決して高いとは言えない自分の体温が少しでも移るように。 「ぁ、の、キレネンコ、さ…ん?」 「見ているこっちが寒い」 「す、すみません…」 「……温かいか?」 ぎゅう、と力を込める。自分より小さい身体はすっぽりと腕に収まった。 「……はい。とても」 凍える冬には温めあって 俺は身体を温めるから、君は心を温めて。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ なんだこれ 尻切れトンボ過ぎてもはや笑う気すら起こらない← ← |