人間なんて誰も本当には信じられない、なんて思うのは自分が誰もに対して心の奥底で少しずつ裏切っているからなんだろう。 「今度コンビ組むことになりましたコプチェフです!えーと、ボリス、だよね?」 「……ああ?コンビ?」 振り返った黒髪の男は自分より大分小さくて。目の下の隈が酷くてそりゃあもう目付きの悪い人だった。気難しそうな人だな…ちょっと面倒臭いタイプかも。 「上から言われなかった?」 「あー………で、お前が?」 「そうだよー。宜しくねボリス!」 握手をしようと手を差し伸べるとあからさまに嫌そうな顔をされた。なんて分かりやすい。そう言えばこの人は全然人と交わろうとしないとか何とかって前に聞いたかも。別に興味なかったから忘れてたけど。 「あー…っと、ごめん。握手嫌い?」 「……ああ」 「そっかそっか。ごめんね」 へらっ、といつもの軽い調子で笑い手を引っ込めると今度は虚を突かれたような顔をして。すぐ顔に出る人だなぁ…。って言うか、今そんな変なことしたっけ? 「…怒らないんだな」 「え?」 「……変な奴」 しかめっ面だった顔が不意に歪められて。綺麗だ、と思った。次の瞬間にはまたしかめっ面に戻ってたけど。「まあ、宜しく」と言ってボリスが去ってしまった後も暫くその笑顔が頭から離れなかった。それからボリスと行動するようになって分かったこと。ボリスはいつだって直球しか投げてこない。不器用で、嘘が吐けなくて。滅多に本心を表さない俺とは正反対なんだってこと。嫌いではなかった。寧ろ尊敬さえした。自分に正直に生きることが出来たらどんなにか、と。今まで誰のことも信じなかった、信じようとしなかったけどこの人なら信じてみようと。 純粋だからこそ堕ちた そんな気に、させられた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 何か書きたいと思って何も考えないで書いたら性格が違くなった…しまったあああ← ← |