「誰か、殺して」

誰も居ない空間で呟く。どうして誰も居ないのかって?ボクがみんな一人残らず殺してしまったから。…生きた人間が誰も居ない、と言った方が正しいか。カドルスもギグルスもトゥーシーもペチュニアもみんなみんなみんな。ボクが、僕が、殺したんだ。

「誰か……誰か誰か誰か」

お願いだから、殺して。でもここにはもう誰も居ない。自分で死ぬ勇気もない。はは、なんて身勝手な臆病者。

『オレが殺してやろうかぁ?』

ふと聞こえた声。ボクの声。

「…本当に?」
『良いぜ?俺には出来ねえんだろ?』
「……うん」
『だったらオレを使え。その為のオレだろ?』
「…君には敵わないな」

足元に落ちていた血塗れのサバイバルナイフを拾い上げる。このナイフも随分と血を啜ったことだろう。右手でしっかり握り目を閉じる。

「じゃあお願いね」
『ああ。また明日な』

ボクは僕の心臓を正確に一突きにした。痛いと思ったのは一瞬で。僕はすぐに活動停止した。


ウチの王子は死にたがり
(殺してくれてありがとう、ボク)
(自分に感謝してどうすんだよ、俺)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
フリは死にたがり
でも自分では怖くて無理だから覚醒くんに殺してもらう、的な何か




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