五年ぶりのハピツリ。皆僕のことを憶えているだろうか。小さい時だったから忘れられてるかもしれないな。一歩足を踏み入れる。ああここでは死んでも大丈夫なんだ。もう死の恐怖に怯える必要はないんだ。一歩一歩確かめるようにハピツリの地面を踏むフリッピーの顔はとても生き生きとしていて。戦争で父を失い一人になってしまったが生きて帰って来れたことに心から安堵していた。皆に会いたいのは山々だけど取り敢えず我が家に帰ろう。五年も無人で放っていたのだからきっと酷い有り様になっているに違いない。フリッピーは真っ直ぐに自分の家へと歩を進めていった。不思議なことに家に帰るまでには誰にも会わなかった。もしかしたら今日はもう皆死んでしまったのかも、なんて。赤い屋根が見えてきてああやっと家だと思ったのも一瞬、扉の前で佇む人影が一つ。一体誰だろう。誰も居ない家なんかに用は無い筈なのに。向こうはこちらに気が付いていないようで扉を見詰めたまま動かない。ゆっくり近付いて声を掛ける。 「あの……」 「!!??ごごごごめんなさいごめんなさいいい」 その子は僕を振り返って見るとただひたすらに謝り出して傍にあった木の裏に隠れてしまった。赤い長い髪を揺らして。なるべく相手を怖がらせないように少し距離を置いたところから会話する。 「ごめん。ビックリさせちゃった?」 「いえ、あの、すすすすみませんすみません」 どうやらこの子は極度の怖がりのようだ。この子の名前…は、確か……。 「フレ、イキー…?」 「は、…ぇ、え?」 そうだ。赤い髪にこの臆病さ。見た目は大人っぽくなったけど中身は変わってない。この子はフレイキーだ。 「ぁ、の…どうして私の名前……」 フレイキーは木に身を潜めて聞こえるか聞こえないかくらいの本当に小さな声で話し掛けてきた。うーん…僕のこと憶えてるかな? 「僕の名前はフリッピー。フレイキー憶えてる?」 「……フリッ、ピー?」 フレイキーはおずおずと木の陰から姿を現し、フリッピーの目の前に立つとフリッピーの顔をじーっと見詰める。するとみるみる内に瞳に涙を溜めて。 「え、ちょ、フレイキー!?どうしたのどこか痛い…」 「フリッピー!!」 「うわっ」 フレイキーにいきなり抱き着かれて思わずバランスを崩しそうになる。一回りも二回りも小さい身体はフリッピーの胸に顔を押し当ててぽろぽろと涙を流した。 「フリッピーだ…本物だ……」 「フレイキー…」 「お帰り…お帰りフリッピー」 「……うん。ただいま」 「もう帰ってこないかもって…心配、で……」 「あは…ごめんね。寂しかった?」 「うん……」 「そっか」 よしよし、と小さい子をあやすように背中を撫でてやるとフレイキーはまた一層激しく泣いた。もしかしたら毎日毎日この家に来ていたのかもしれない。そうでなければ家に蜘蛛の巣一つ無いなんて有り得ない。 「ありがとうフレイキー」 額に口付けを落とすとフレイキーは涙でぐずぐずになった顔でそれでも恥ずかしそうにはにかんだ。その顔がまた一段と可愛くて。取り敢えず落ち着いたらしいフレイキーから身体を離し今一度彼女を見る。随分と伸びた赤い髪。昔の面影を残してはいるが確実に女性らしくなった顔立ち。…にしても大きくなったね胸……って何考えてるんだ僕は。でも何て言うか…コレは。 「(なんて僕好みに成長したんだ…!!)」 「あ、あのねフリッピー」 お帰りなさい。 煮え滾った脳の鍋 僕はその笑顔にぶち抜かれました。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ オチが酷い← 再会してフレに一目惚れなフリ 軍臆書くといつの間にかフリが変態になりますw ← |