十一月になって急に冷え込み始めたこの季節。正直外になんか出たくはないのだが食料が尽きてしまっては買いに行かない訳にはいかない。街の歩道をボリスとコプチェフの二人は歩いていた。 「寒ぃ…」 ボリスは帽子を目深に被り上着のポケットに両手を突っ込み小さく震える。その隣ではコプチェフがひたすらに両手を擦り合わせハァ、と白い吐息を吐いた。 「本当風邪引きそ…へっくしゅん!」 「…汚え」 「うわあああんお願い!!ボリス暖めてえええ」 街中で抱き着く男二人にすれ違う人々からは痛い視線が注がれる。そんな状況にボリスが黙っている筈もなく。 「公衆の面前で抱き着くな頭ぶち抜くぞ」 「俺ボリスになら殺されても良いー」 「……頭冷やそうかコプチェフくん」 ボリスがコプチェフの鳩尾に容赦ない鉄拳を食らわすとコプチェフはうめきながら地面に踞った。ボリスはその様子を冷めた眼で一瞥すると一人ですたすたと行ってしまう。 「ちょ、ボリス待っ…」 よろよろと立ち上がるコプチェフはボリスを追い掛け、そしてまた初めの通りボリスの隣を歩いた。 「ボリスの鬼ー悪魔ー」 「それで結構だよこのヘタレ変態ドM」 「Mじゃないよ!!」 他は認めるのか…とツッコみたいのは山々だが面倒臭かったので止めた。 「早く買い物して帰るぞ」 「そうだね…帰ったらコーヒー淹れてあげる!」 「おう」 二人の影はいつだって寄り添って、 冬空の下、街道を歩く男が二人。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 定期的に運狙が書きたくなります 化学の授業中に書きました← ← |