「トリックオアトリート!」 プーチンはにこにこしながらキレネンコに右手を差し出している。かたやキレネンコは口を半開きにして固まっていた。 「……あ?」 「もーキレネンコさんってば。今日はハロウィンですよ?」 カレンダーに目を向けると確かに今日は10月31日。しかしここは監獄。菓子なんか持っている訳が無い。 「…ねえよ」 「……ですよねぇ」 プーチンは頬を膨らませて自分のベッドに腰を下ろし枕を抱き締める。天井を見上げ溜め息を漏らすその顔は心底憂鬱そうだった。 「今日くらい普通のお菓子食べたかったなぁ…別に角砂糖嫌いじゃないですけど」 ぶらぶらと足を揺らすその様は小さな子供みたいで少し面白かった。多分期待していたんだろう。看守に何か言ってたし。…そう言えばハロウィンって菓子をやらなかったら悪戯されるんだっけ? 「…おい」 「はい?」 「しないのか?」 「へ?」 「悪戯」 「え、……ええええ!!??で、出来る訳無いじゃないですかキレネンコさんに悪戯なんか…!!」 ぶんぶん首と手を振るプーチンの顔は何故か真っ赤で。本当変な奴だよなぁ………あ、良いこと思い付いた。 「おい」 先程されたのと同じ様にプーチンに右手を差し出す。 「トリックオアトリート」 「……ぇ、」 「菓子。無いのか?」 「……な、無いです…」 冷や汗を垂らすプーチンとは対称的にキレネンコは不敵な笑みを浮かべてプーチンを押し倒した。 「じゃあ悪戯決定だな」 「そ、そんなぁ……って、わ、キレネンコさ、」 「黙ってろ」 「………もー」 悪戯は選ばせてあげます (…来年は黙っとこう) (…来年もやるか) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ハロウィンシーズンに乗ってみたかったんですごめんなさい← ← |