今日の昼飯は魚。……魚だけはどうも好きになれない。第一に生臭い。別に腹も空いていなかったのでトイレに流すと隣人が勿体無いとか魚が可哀想とか喚いた。魚ごときで大袈裟な…鬱陶しい。541番は既に食べ終えたらしく皿には骨だけが残されていた。看守に皿を返すと541番は美味しかったーと言って自分のベッドに寝転がる。そのまま寝てしまうのだろうかと思ったのだが顔だけをこちらに向け話し掛けてきた。

「キレネンコさんって魚嫌いなんですね」
「………」
「折角美味しいのに勿体無いですよ」
「…臭え」
「……そうですかぁ」

いつもいつもくだらないことを聞いてくると思う。別に俺の好き嫌いを知ったところで自分には何の関係も無いだろうに。でもそう言うことに答えてやると541番はとても嬉しそうな顔をする。…本当に不可解だ。嬉しくなる要素なんかどこにも見当たらないだろう。

「…なんで笑うんだ?」
「え?」
「そんなこと知っても嬉しくないだろ」
「…そうですか?そんなこと無いですよ?」

541番は寝転んでいた身体を起こして俺を真っ直ぐに見つめる。何となくその視線から目を逸らすことが出来なかった。

「好き嫌いとか知るのってその人に近付けた気がするんです…僕だけかもしれませんけど」
「………」
「だからキレネンコさんが好きなものとか嫌いなものとかを教えてくれるのって凄く嬉しいんです。それで笑ってたのかな」

笑ってたつもりはないんですけど、と言ってプーチンは困ったように頬を掻いた。…案外しっかりした考えを持ってるんだなこいつ。ただの能天気馬鹿だと思っていたが。

「…変わってるよな、お前って」
「え、そうですか?」

ふん、と鼻を鳴らしてスニーカー磨きを始めると541番も「よし、食後の運動!」と言ってコサックダンスを踊り始めた。

他人の好みなんかどうでもいいと思っていたけど。少し、本当に少しだけ、こいつの嫌いなものは何なのだろうかとか。


心中お察し出来ません
(……アホらし)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
普通に話してくれるようになった辺りかなー…
ひ、久し振りに文章書いたら何か書けなくなってる…!;




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -