モニターに映った人物は紛れもないあの人で。七年前と何も変わらない、赤い髪も瞳も。

「(生きて、…たんだ)」

…まあ、あり得ないことではないか。弟が生きていたのだから兄がそうであってもおかしくない。ただ弟と継ぎ接ぎで繋がれていたから死んだのだと思い込んでいただけであって。

「……キレネンコ」

モニター越しに彼の名前を呼んでみる。当然聞こえるわけもなくキレネンコはスニーカーのチラシを部下に見せている。どうやらあれ目当てでこのビルにやって来たらしい。相変わらずスニーカーが好きなところを見ると中身も変わってないのだろう。

「……ん?」

てっきり一人で来ているものだと思っていたのだが、よくよく見ると後ろの茶髪の男は連れらしい。男はどんくさそうで人が良さそうで、とてもじゃないけどこちら側で役立つ人間には思えなかった。

「ズル?」
「、っ!…な、何?」
「大丈夫?モニター見たまま固まってたけど…」
「ぁ、……いや、なんか変な奴等!って思ってさー」
「全身縞々だもんね」
「でしょー?」

なんとなくゾーヤ達にキレネンコを見ていたことを知られたくなくていつもの調子で取り繕う。もう一度モニターへと視線を戻すとキレネンコがこちらを見ていて。目と目が合う。だけどすぐにその視線は外されて。知らず止めていた呼吸を再開する。

「は、───」

何で……いやいや落ち着け。向こうからこちらが見える筈は、ない。たまたま…たまたまださっきのは。キレネンコが何か呟くと男は赤い縞々の背中をぎゅっと掴む。勘の鋭い奴だから監視の目があることに気付いたのだろう。それにしてもあの男はそれほど大切な人間なのだろうか。触れられてもキレないなんて。キルネンコにでさえ触られるのを嫌っていた彼が。あの腑抜け面は私が手に入れられなかったものを得ているわけだ。…私は話すことも近付くことさえも許されなかった。きっとそれは今も変わらない。つまりは私はあの男に一生勝てないと言うこと。男の笑った顔に無性に腹が立って、思い通りにならないキレネンコに腹が立って。

「…二人とも死んじゃえば良いよ」


そう思ってリモコンのボタンを押した。


君の隣にあたしはいない
(あれ、なんか泣きそうなんだけど)

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リク頂いた赤緑←狡です!
ズルはキレのことが好きだったとかそんなのです^^




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