「……──っ!」

太股に鋭い痛みが走った。痛い。ああ早く死んでしまえ。そう思って私は鎌を振り下ろした。脚にしがみついていた死刑囚の男の手が地面に滑り落ちていく。とにかく早く部屋から出て行きたかった。引っ掻かれた腿からは血が出ていて暫く走ると膝がかくん、と折れた。死にたくないと自分にすがってきた死刑囚の顔が忘れられない。あんなに抵抗されたのは初めてで正直動揺している。荒い息を吐きながら身体からは嫌な汗が流れた。四本の引っ掻き線がひりひりする。

「…ショケイ?」
「あ……カンシュ」
「お前顔色悪いぞ?…つーか、血だらけじゃねえか」
「……大丈夫だよ」
「んなわけないだろ。ったく…立てるか?」

そのまま私はカンシュに連れて行かれ、半ば強制的に休憩室──いつも四人が泊まっている部屋で世話を焼かれた。ロウとゼニは仕事中らしく部屋には居なかった。

「ん。ゼニロフさんみたいにはいかねえけど…」

太股には包帯が巻かれている。返り血で汚れていた服も洗濯機にかけられている。本当、カンシュは世話好きって言うか…。

「痕、残んないと良いな」

そう言いながらカンシュは傷をなぞる。いくら包帯の上からと言っても腿の辺りを触られるのはちょっと恥ずかしい。

「…くすぐったい」
「あー、わり」


やっぱりカンシュと居るのが一番落ち着くなあとか思ったり。


私がただひとつ求めたものは
(…あ、やっと笑った)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
カンシュはショケイが辛そうにしてると心配
ショケイの笑った顔が一番好き




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