あいつは突然に私の目の前に現れて。一年前と何も変わらない。ムカつく顔しやがって。いつもいつも人を馬鹿にしやがって。ムカつくムカつくムカつく…!! 「……何その顔」 「…離してよ」 「はあ?お前まだ自分の立場分かってねえの?」 「……うるさい」 ズルゾロフはキルネンコの顔に唾を吐き掛ける。キルネンコの部下に両腕を拘束されているためそれくらいしか抵抗する術がないのだ。キルネンコは唾を手で拭うとズルゾロフの顔を平手で腫れるほど強く叩いた。口の中が切れたようで鉄の味が広がった。 「…本当昔からムカつく奴だよ」 「……こっちの台詞」 「へえ、初めて気が合ったね……あ、じゃあさ」 髪を掴まれて無理矢理上を向かされる。ムカつくピンク色の瞳と目が合うとキルネンコはこの上無いほど優しい笑顔になり。 「大っ嫌いな奴にキスされるのってどんな気分だろうね?」 そう言うや否やズルゾロフの引き結ばれた唇に無理矢理舌を差し込んだ。ズルゾロフは突然のことに頭がついていかずされるがままに唇を貪られる。顎を飲みきれなかった唾液が伝う。唇を離されても頭の整理が出来ず、だらしなく開かれた口で浅い呼吸を繰り返すことしか出来なかった。 「はっ…馬鹿面」 「な、に……ぇ、?」 「……ああ、もしかしてさ、お前キスしたの初めて?」 「っ!!!…ぅ、るさい!!死ね!!」 駄目だ。今泣いては本当に心が折れてしまう。 「ってことは…ヤったこともないわけか」 「…っ」 「図星?…ははは!!じゃあ俺が全部教えてやるよ。お前の大っ嫌いな俺がさぁ!!」 耳障りな笑い声と心底楽しそうな顔を最後に、目の前が真っ暗になった。 畜生、畜生、畜生 あーあ、死んどけば良かったのに。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ズルとキルは不毛な関係みたいな…そんなイメージ 美人姉妹は気絶してて居ないことにしよう← ← |