うう、なんか身体がダルい…。ベッドから起き上がることすらも億劫だ。でも早く起きないと遅刻するしボリスに怒られるし…。ああほら足音が近付いてきた。

「おいコプチェフ。お前いつまで寝てんだよ遅刻するだろ」

ノックもされずに部屋に入られる。既に制服に着替えているボリスの眉間には皺が寄っていて。やっぱり怒ってる…けどダルいものは仕方がない。

「あー…ごめんねボリス」

ベッドに突っ伏したまま力無く笑う。ボリスは怒っていた表情から一変、怪訝そうに片眉を上げてコプチェフの顔を覗き込む。

「……元気ねえな」
「うん…ちょっとダルくてさ」
「…熱は」

そう言いながらボリスは額をコプチェフの額にくっ付ける。ボリスからしてみれば普通に熱を計っているつもりなのだがコプチェフにはそうではないらしく。吐息がかかるほどに近いその距離に心臓をバクバクと鳴らしていた。

「(緊張するんだけど…!!)」
「…無いみたいだな」

額が離されてコプチェフはほっとしたような残念なような。変に緊張したせいかさっきよりダルくなった気がする。…今日はもう仕事休もう。

「ごめん、俺今日休むよ」
「……そ」
「うん、ごめんね」
「なんで謝るんだよ」

ボリスはコプチェフの頭をくしゃりと撫でると考え込むように空を見詰める。少しして考えが纏まったのか悪戯な笑みを浮かべて。

「俺も休む」
「え?」
「お前の面倒見てやるよ」
「ええっ…良いよそんなわざわざ」

いや勿論心配してくれるのは嬉しいんだけど…。普段なら絶対に休もうとしないのに一体どうしたと言うのか。

「良いんだよ。…今日見回りだろ?」
「うん、そうだけど…?」
「お前以外の奴ととかごめんだからな」

ボリスはもう一度コプチェフの頭を撫で「寝てろよ」と言って部屋から出ていった。一人になった部屋で先程のボリスの言葉をゆっくりと噛み砕く。お前以外の奴とはごめん、って…………俺以外嫌ってこと?

「……っ、えええ!!??」

ななな何それ俺以外ダメってなんか嬉しいんだけど……!?

たまには病気も良いかもしれない、と思った。


愛恋狙撃
(ああなんか好きになりそう)

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こういうちょっとしたことから恋は芽生えるのさきっと←何



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