24 | ナノ





▽ あかまる

「……俺、最近自信がなくて」
「なんだよ急に。らしくねぇじゃん」
「いや、違うんです。ほんとに自信がないんです」
「だから何が?」
「……丸井先輩が、本当に、男なのかどうか」
「……………は?」

目の前で雑誌を見ていた丸井先輩。バサッとその手から雑誌は落下。今まで雑誌に向けられていたその目は、今度は俺の方へ向けられた。一体こいつは何を言ってるんだ、とでも言いたげな目で俺のことを見ている。

「…あの、ちょっと痛いッス」
「お前の発言がな」
「いやいや、先輩の刺すような視線の方が」
「別にそんな目で見てねぇよ」
「じゃあどんな目ですかそれは」
「可哀想だなって目」

さっきよりも目を細めて、本当に可哀想って顔をして笑っている。つまりバカにされている。それだけは確か。

でもさ、でもさ、仕方ないじゃん。
もしかしたら女の子かも?とか、思っちゃったんだから。

「ねぇ先輩、俺信じられなくなっちゃった」
「……近ぇよ」
「ちゃんとこっち見て、先輩の顔、もっとよく見せて」
「っ、ちょっと、赤也」
「…ほら、すぐそういう顔する」

ちょっと顔を近づけて、頬に触れて、瞳を覗き込んだら、途端に目が泳ぎはじめて視線が合わなくなった。ついでに顔はほんのり赤くなってきて、恥ずかしいのか前髪を弄って顔を隠そうとしていた。

ほら、かわいい。
これで男だって言われても、ここまでのどこに信じられる部分があった?少なくとも俺には欠片もなかった。

「…そんなかわいいことばっかりしないでください」
「してねぇよ、いいからちょっと離れろバカ」
「なんで?ドキドキするから?」
「〜っ、うるさい」

目をぎゅっと瞑って、覆い被さる俺の服もぎゅっと握りしめる。かわいい、かわいい、かわいい。あー、そろそろ本格的にやばい、かもしれない。

「丸井先輩、お願いしていい?」
「……なんだよ」
「俺に、先輩が男だってこと信じさせて」
「……それ、本気で言ってんの?」
「だってもう俺、先輩がかわいくて仕方なくて、男だって思えない……だから、ね、おねがい」
「ん…っ」

するっと頬から首を伝って顎のあたりまで撫でると、ビクッと先輩が震えた。反射的に漏れた吐息は、また俺に男であることを疑わせる。

「ほら、そんなんじゃいつまで経っても信じられないよ?いいの?」
「〜っく、そ……わかった。絶対に、疑いようのないくらい、信じ込ませてやる」
「言いましたね?約束」

ちゅ、っと唇を軽く重ねてから体を離すと、すごく照れてるのにそれを一生懸命我慢して隠そうとしてる丸井先輩の表情が目に入った。

そういうのがいけないんだよって教えてあげてもよかったんだけど、やっぱりかわいいから教えてあげないことにした。



2015/11/29 18:58


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