心臓が、ぎゅってなる。
ぎゅうぎゅうなって、押し潰されそうで。
急に泣きたくなるし、怒りたくもなる。
褒められれば嬉しいし、怒られたらすっげーヘコむ。
よくわかんねーよ。
こんなの、初めてで。
全部花井のせいだ。
「「うまそう!」」
放課後の練習後、いつものように配られるおにぎりにがっつく。
俺の具は昨日一番だったから豪華だ。
勢いよく三橋と一緒に食べていると、嫌でも声が聞こえてきた。
「阿部、コレのことなんだけどよー」
「ん?あぁソレか…」
視線は向けないけど、今、俺の全神経はその声の方に集中している。
打席に立つみたいにピーンと神経が張り詰めて。
隣にいる三橋の声も食べかけのおにぎりも、気にする余裕なんかなくなった。
「そういや―――」
声が心地いい。
ストン、と身体中に染み込むような。
じわじわ広がる、えっとなんだっけ、…侵食作用?
ソレみたいに、俺をじわじわ包み込んでいく。
「―――なぁ、田島」
おかしいんだ、俺。
いつも花井のことばかり考えてんだ。
野球をしてるときは違うけど、それでもネクストの花井から視線をもらうと、心臓が飛び跳ねる。
あの目が、俺を捕まえて。
「たーじーまっ!」
離してくれない。
「おい田島!」
「………うぇ?」
「どうしたんだよ、おにぎりも食いかけにして」
「あー」
やっべ、考えすぎてた。
そのせいで花井が俺の顔を覗き込んでる。
…花井が、近い。
「具合でも悪いか?」
「いや、ちげーよ」
「じゃあどうしたんだよ」
「(…うわ、心臓が尋常じゃなく動いてる)」
「おい?」
「(花井のこと考えてました、なんて言えるわけねーじゃんな)
少し心配そうな花井の目を見てから、ニッと笑う。
考えるなんて性に合わないよ、もう、ダメ。
俺は、考えるよりも先に行動してこそ俺なのに。
「なんでもねーよ!」
こんなに俺が臆病だなんて初めてだ。
恋するパトス
(初めて知った)
(ジリジリ焦がれて溶けちゃいそうだ)
キラキラ、まぶしい。
グルグル、まわる。
ドキドキ、する。
全部、全部俺の気持ち。
今、俺を占める感情は一つしかない。
花井が、好きだ。
―――――
どちらかの片思いということでしたが、田島にしてみました^^;
すみませんキャラ崩壊もいいとこだ…!
申し訳なさがいっぱい←黙
こちら蒼井さまに相互記念として捧げさせていただきます。ありがとうございました!