「っしゃ、行くぜ!」


その声に、わぁっと大きな歓声があがる。
掛け声と共に軽快なリズムで走りだした彼が、シュートを決めたのだ。

そのかっこよさ(と爽やかさもか)に騒がない女子はいない。


「山本!」
「山本くーんっ」
「武ー!!」


声援にもいちいち答えて手を振っている。
その笑顔にまた黄色い歓声があがる。(正直俺もドキッとした)

かくいう今日は球技大会。
声の主、山本は今バスケの試合に出て大活躍。
ホント、なんでもできるんだなぁ…と山本を見る。
うらやましい限りだ。
だって俺なんか、出たは出たけど転んでケガをして今はベンチだ。
せっかく山本と一緒に出られると思ったのにな。


「(悔しいな…)」


俺はこの有様だからね。
おとなしく応援していることにしたんだ。(って言っても見てるだけだけど)


「ツナ!」


あ、山本。


「前半終わり?お疲れー」
「…足、平気か?」
「あ、うん、大丈夫…ごめん、俺何も出来なくてさ」
「気にすんなって!」


ベンチに戻ってきた山本が俺のそばに寄ってきた。
それから満面の笑みでグッとポーズ。

あぁもうどこのヒーローだよかっこいいな。


「あ、後半始まるよ」
「ホントなのな」
「頑張ってね」
「…」
「山本?」
「俺、ツナに応援されたら負ける気しねーのな!」
「そう?」
「おー」


山本はダッとコートに戻りながらまた笑顔で、今度は叫んだ。


「俺、ツナのために絶対勝つからな!」


途端に沸き上がる悲鳴にも似た声、それから痛い視線も感じる。

頬が熱くなる。
コレ、どんな羞恥プレイだよ、もう…。





あ、今きっと10人くらいに回した

(嬉しいけどさ)
(人前でそーゆーこと言わないでほしいなぁ)





俺のために、だって。
他の誰のためでもなく、俺のために、だって。
どうしよう、思い出すだけで嬉しくなる。

結果?
もちろん勝ったよ!



―――――
山→←ツナだと言い張ってみます!←
おっかしいなー…
こう…、青春っぽくしたくて、ですね`q'笑



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