最近、田島の様子がおかしい気がする、いや、絶対おかしい。
だって、田島のヤツ、


「はーないー!」
「お、おう…」


急に、俺に抱き付いてこなくなった。
今までは俺を見つけるたびに抱き付いて(というかこう突進して)きたのに。


「なー、なんかねー?俺腹減って死にそー!」
「あ、あぁ…ポッキーならあるけど」
「やりー!」


いつもは構ってくれだの言いながら寄ってくるだろ。
突然抱き付いてこなくなると、物足りないっていうか不安になるっていうか…。

アレ…?俺と田島って、付き合ってるよな…?みたいな、ハハ…。
…まさか飽きられたとか?
嫌いになったとか?
嘘だろ…!?別れるとかになったり…?


「(そんなの、洒落になんねーぞ…!)」


そりゃ人前で抱き付かれたら恥ずかしいし、いつも軽くあしらうけど。
俺は、田島が好きだ。
別れるなんて、嫌だ、っていうか無理だ!


「…なぁ、阿部」
「ん?」


俺は田島がポッキーに夢中になっている間に隣にいた阿部に話し掛ける。
水谷もいたが、阿部の方がいいアドバイスくれそうだからな。


「田島がさ、抱き付いてこねーんだけど…」
「ふーん」
「これって、俺に飽きたんだと思うか?」
「なんでそーなんだよ」
「いや、だってよ…」
「俺には、田島の気持ちなんてわかんねーよ」
「…」
「…とりあえず、お前から抱き付いてみれば?」
「は…?」
「飽きたなら、突き放すんじゃねーの?」


阿部は飄々とそう答えた。
俺は、頬の紅潮を感じたし羞恥心が襲ってきて。

阿部は簡単に出来ても、俺は恥ずかしいし人前だし、何より拒絶されんのが一番怖い。

…でも、それが一番手っ取り早いのか。
怖い、けど、いつも俺からは何もしねーし…、


「た、田島っ!」
「ん?え、わっ!?」


意を決して、田島に抱き付き力強く抱き締める。(とりあえず突き放す様子はない)


「…」
「…」
「…た、田島?」
「…スゲー」
「は?」
「やっべ、ちょー嬉しいんだけど花井から抱き締めてくれんの!」
「そ、そうか?」


とりあえず、飽きられてはいないみたいだ。
でも、なんでこんなに喜んでんだ?


「阿部、お前スゲーよ!」


え、阿部…?


「阿部の言うとおりになった、スゲー!」
「当たり前だろ」


バッと振り返れば、ニタッと嫌な笑みを浮かべた阿部が俺たちを見ていた。


「花井から抱き付いてくれるなんてさー!」
「俺を誰だと思ってんだ」
「え、…えぇ?」
「阿部の計画どおり!」
「計画…?」


なんか嫌な予感…?
次の阿部の言葉に、脳天をぶん殴られた感じがした。





計画的行による

(頭カタイヤツにはさ)
(押してダメなら引いてみろ、だろ?)





「な…!?」
「いやぁ花井、見事なうろたえっぷりだったな」
「あ、阿部ええぇぇ!」


つまり、田島がこうなったの阿部の差し金かよ!


「田島が言ったんだからな糞ハゲ」
「花井からなんかしてほしくてさー」
「俺に感謝しろよな、バカップル」
「ありがとな阿部ー!」
「どういたしまして(あー花井面白かった)」
「阿部、てめー…ふざけんなよ!ちょ、田島!とりあえず離れろ!」
「なんでだよ、花井からだろ!ヤだ!」
「ぐっ…ヤだじゃない!」
「ヤだ!」
「はーなーせーっ!」
「いーやーだっ!」
「(…ウゼェ)」



―――――
なんだこれ(゚Д゚;)
花田+阿だったけど阿部がなんか変な位置…
とにかくすっごい照れ屋で悶々する花井を書きたかったのです、すみませーん!



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