見つけたら、幸せになれるって言うでしょ?
「んー…」
「何してんの?ツナ」
「四つ葉のクローバー、あるかなって」
「へー」
急にしゃがみこんだ俺に、さほど驚いた様子もなく重なる影。
「ありそ?」
「わかんない」
「…じゃ、俺も探すのな」
そう言うと、その影は俺の隣にゆっくりと並んだ。
山本は、ニッと笑うと俺と同じく足元を探し始める。
「ないのなー」
「そうだね」
「ま、そんな簡単に見つかったらつまんないか」
「でも、見つけたいんだ」
「なんだよツナ、そんな幸せになりてーの?」
「わっ」
ははっ、と笑いながら俺の髪をぐしゃぐしゃに撫でられる。
もう、山本ってば加減ってものを知らない。
「違うって…俺はもう十分幸せなんですー」
「それなのに探すのか?」
「いいんだって」
山本の言葉を受け流して、俺は探すことに集中する。
四つ葉のクローバーを探すのは、俺のために、じゃなく、
「………あ」
…見つけた。
「おわ、やったじゃん、ツナすげーのな!」
「(まさかホントに見つかるとは…)」
「俺も見つけてーな」
「(自分にびっくりだ)」
「でも、これでツナの幸せ倍増なのなー」
「(…だから自分のためじゃないんだけどな)」
「ツナ?」
「……………はい」
「………え?」
「だから、はい」
「え、何これ」
「四つ葉のクローバー」
「や、うん、それはわかってんだけど」
スッと山本の目の前にそれを差し出せば、きょとんとして見つめられる。
俺は山本に、あげるつもりで探していたんだ。
俺には必要ない。
だって、
幸せの切符
(俺はいっぱい幸せにしてもらってるから)
(君の幸せを願いたい)
「な…」
「俺は山本にもっと幸せになってもらいたいの」
「…」
「受け取って?」
「………いらない」
「え、ひど」
「だってそれじゃ、俺が幸せじゃないみたいだろ」
「うーん…」
「俺はツナといれっから、幸せなのな!」
「…そっか」
「そうなのな!」
「(…恥ずかしい、って今更なんだか後悔する)」
―――――
あれ、おかしいな、何を間違ったんだろう←
甘い話だったのに…
なんか、もう、ありがちでごめんなさい!汗