「泉、キスしてもい「絶対に嫌だ」
浜田の誘いを、俺はばっさりと切り断る。
するとあからさまに落ち込んだ様子で俺を見ている。
「いーずーみー…」
「んだよ」
「最近…なんて言うか、そういうスキンシップ、さしてくんないよね」
「気のせいじゃね?」
「気のせいじゃない!抱き締めさせてもくれないじゃんかー」
「…知らね」
ふいっと視線を外せば、もーとか言いながら浜田は立ち上がった。
たぶん台所に行くんだ。
「俺ココアー」
「はいはい」
後ろ姿を見つめながら、今度は俺がため息をつく。
いい加減、気付けよバカ。
背中をじっと見つめていたら、こっちを振り向いて気付いてくれないかと念を送ってみる。
うん、無理だ。
浜田は、バカだ。
バカすぎるバカなんだ。
何回言っても足りないバカなんだ。
本気で、嫌なわけない。
「バカ浜田」
「うわーひどい」
「バカバカバーカ」
「俺、泣くよ?」
バカのくせに、優しいからダメなんだ。
俺の気持ちを優先だとかそんなヘタレなことばっかだからダメなんだ。
俺を押し倒してキスくらいしてみろってんだ。
きすしないで
(だきしめないで、ふれないで)
(全部、裏返し)
「(俺からなんか、絶対無理なのに…!)」
「はいココアー」
「…」
「泉?」
「いっぺん死ね浜田」
「ええぇ!?」
―――――
わたしはツンデレというものを履き違えた。Д。←