『正月が誕生日とか、ちょっとヤなんだよね』
「どうして?」
『みんな休みじゃん!』
「はは、そっか」


耳元で騒ぐ声は、正月とか関係なく元気だ。
その声を聞くとやっぱり安心する。
好きだな、って思う。
…恥ずかしいな。


「…でも俺は電話したよ」
『?』
「誕生日、おめでとう」
『…ありがとう栄口』


ホントは、会って言いたかったけど、正月だし、家族団らんの邪魔はしたくないしね。
だから、せめて、一番最初におめでとう。


『へへ』
「なに?」
『栄口が祝ってくれたら、なんか幸せでもう他の人とかいいや』
「っ、バカ」


なにくだらないこと言ってんの、って言ったら、だって本音だよ、って笑う。

俺、新年早々幸せ者かもしれないなぁ。
好きな人と、こんなふうに話して、笑っていられるなんて。
あ、じゃあ水谷は誕生日だからもっと幸せか。


『栄口、好き』
「急に言わない」
『言いたくなったんだ〜』
「…もう」


俺だって好き。
誕生日だし、俺も好きって言うべきだろうけど…。


「…いとかなし」
『え?』
「俺の気持ち」
『なにそれ古典?』
「これ、基本問題だよ」
『ちょっ、待って!辞書辞書…アレ、辞書〜!?』
「はい、ダメ〜」
『栄口ぃ〜!』
「…次会うときまでの宿題だから、ね」


俺は、水谷の返事を待たずに携帯電話を切る。
答え、今答えられたら、絶対恥ずかしいもん。





とかなし

(とてもいとしい)
(俺はいつだって君を想ってるよ)





今度は、顔を見て、ちゃんと言えるといいな。



―――――
栄口がたしか古典が得意だからこんな話←
あ、これ水谷誕だった…
どろっどろに甘い二人が大好きです^^←
おめでとう水谷!



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