「聖なる夜 君想う」


子供たちの笑い声が響く公園のベンチに山本は座っていた。
特に公園に用があるわけではないが街がクリスマスムード一色なのに家に籠るのはどうかと思い公園に来たのだ。

(どうせ来るんならツナ誘えばよかったな)

そう思ってかまくらや雪ダルマを作ったり雪合戦をしたりして走り回る元気な子供たちを見て小さく苦笑した。

「山本?こんなところで何してんの?」

突然の声に振り向くと自分が願った人物がいて軽く目を見張る。

「ツナ!いや、特に用事とかは無いんだけどさ、今日クリスマスだろ?なんか落ち着かなくてさ。ツナは?」

「俺は…ランボたちが家の飾り付けするからって追い出されちゃって」

そう言って山本の隣に腰を下ろし眉尻を下げ笑うツナに山本は成る程と苦笑する。

「にしても時間過ぎんの速ぇーな。ついこの間まで夏休みだ体育祭だって言ってたのに」

「ホントだよね。色々あったね…骸の事とかヴァリアーの事とか…10年後の事とかさ」

ツナが小さく漏らした10年後という言葉に山本ははっとしてツナを見る。

自分たちが巻き込まれた10年後の世界。そこではツナは死んでいて…ショックを癒す間もなく白蘭の企みを阻止するために自分たちは闘った。

ツナは…自分が死ぬかもしれないと知ってもボンゴレのボスになるのだろうか?

勿論必ずしもそうなると決まっていないということも数ある未来の1つの可能性でしかないということも分かってはいる。

しかし、考え出すと途方もない暗い感情の渦から抜け出せなくなってしまう。

「ツナは「山本はさ、ボンゴレの雨の守護者って嫌?」

言葉を遮るツナに驚いてツナを見ると真剣な眼差しでそれでも不安そうに此方を見ているツナがいた。

ツナの様子に山本は自分がツナを心配するのと同じようにツナも自分の事を心配しているのだと理解する。

「そんなことねぇよ。正直、マフィアとかっていうのには驚いたけどそれでも俺はダチのための助けになりたいんだ。」

そう言って山本は笑う。

「だから、ツナはもっと俺を頼ってくれたら嬉しいのな!」

ニッと笑うとツナも笑って「ありがとう」と言った。

「わっ、もうこんな時間だ!そろそろ帰ろうか」

ツナの言葉に時計を見ると7時を回っていて辺りも暗くなっていた。

山本はツナを送っていくと言いツナの隣に並ぶ。
ツナの家までは他愛もない話をして歩いた。



「送ってくれてありがと」

「いいって♪じゃあまたな」

きっとボスになるのかどうかは自分が聞くことではない。もどかしいけどツナが自分で考えて出さなければいけない答えなのだ。

そう思い山本はツナに背を向けた。



「山本!俺、死なないから」

ツナの声にばっと振り向く。

「俺も正直ボスになる自信ない。いつ死ぬかも分かんないし…っでもそれは皆同じだし…それに山本の気持ち聞いて覚悟ついた」

「えっ…?」

山本は呆然とツナを見る。

「助けてくれるんだよね?守護者でいてくれるんだよね?…だから、俺は死なないよ」

その表情は公園の時とは違って力強く、それでいて見た人を安心させるように暖かかった。

「あぁ。いつでも助けてやる」

山本が言うとツナは嬉しそうに微笑み玄関へと向かった。

玄関を開ける寸前、

「あっ!Marry X'mas山本!!!!!」

満面の笑みで振り返り山本に叫ぶ。

「!ツナもMarry X'mas!!!」

2人は互いに笑ってからお互いに背を向けた。

(ダチのためって言ったけどホントはお前のためだって)

(死ぬかもしれない未来に立ち向かう勇気がでたのは君が助けてくれるって言ってくれたからだって)


自分たちの真上に広がる満天の星空に

クリスマスという聖なる特別な日に

この願いが叶うように何度でも祈ろう

((いつかホントの気持ちを伝えれる日が来るまで))

((出来るならばこれからもずっと))

((お前[君]の隣に俺がいますように))



―――――
クリスマスな山ツナ…むふふ(´∀`)←
始まりはわたしの無茶ぶりでした(笑)
書いてとせがんだら書いてくれた優しい友達です
ホントにありがとう!


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