「あ、阿部くんっ」
「あ?」


俺の心臓、すごくドキドキしてる。
うわぁ…、ただ、話しかけただけなのに。
でも、今日は特別。


「あの、ね!」
「うん」
「お、お、おっ」
「ゆっくりでいいから」


困ったように阿部くんは笑う、けどそんな顔がしてほしいんじゃなくて。

俺は、阿部くんに、


「お、おめっ…」
「おめ?」
「おめで、とう!」
「おー、ありがとな」


おめでとうってやっと言えたら、阿部くんは、ありがとうって笑ってくれた。

誕生日おめでとう。
阿部くんにお祝いがしたかった、笑ってほしかったんだ、俺。


「いろんな人に言われたけど、三橋が祝ってくれんのが一番嬉しーよ」
「…!」


優しく髪を撫でられて、また笑ってくれた。
それだけなのに、俺の心臓は悲鳴をあげそうで。

こんなにも、俺は、阿部くんが好きなんだ。


「阿部、く」
「ん?」
「あ、ありが とう!」
「………は?」
「ありがと、阿部くん」
「ちょ…待っ、意味わかんね…いきなり、は?」
「…」
「何、どうした…?」
「…俺、ね」
「…」
「今、すごく幸せ…阿部くんの、おかげ だから」
「え…?」


ありがとうって言ったら、すごくびっくりしてた。
でも、どうしても言いたかった。


「今の俺があるのは、阿部くんが いてくれたからなんだ、よ」
「…!」
「これからも、一緒に…野球 しよう、ね」
「みは、し」
「阿部くんと いられて、よかった!」


それが今の俺の正直な気持ちだった。
阿部くんといられて、阿部くんを好きでよかった。

伝えられた!


「…んだよ、それ」
「?」
「…っ」
「阿部くん…?」
「そんなの、ずりー…」
「あ、阿部くん!?」


伝えたら、また笑ってくれると思ったんだ。
なのに、阿部くん、


「泣いて、るの…?」
「…うっせ、見んなよ」


阿部くんの目が、じわっと潤んでいく。
つん、と顔を反らしたけれど、しっかり潤んでる。

阿部くんが泣くなんて、滅多にないのに。
…笑って、ほしいのに。


「あ、阿部くん…」
「…」
「泣かない、で」
「!」


泣かないで、笑って、幸せそうにしてほしくて。
俺は、阿部くんがいつも俺にしてくれるように、目元に、優しくキスをした。
阿部くんみたいに、泣くなって言いながら。


「み、みはっ…!」
「阿部くん、大好き」
「〜っ!」
「ごめ んね、俺…変なこと言ったから」
「っ、ちげーよ!」
「うひ!?」


キスをしていた、ハズ。
だけど気付いたら視界は変わって、全身に、阿部くんの匂いがして。

阿部くんが、抱き締めてくれたんだ。


「ふぇ…?」
「…なんでお前、そんなかわいいかな!」
「かわ…っ!」
「変なことじゃねーよ、すげー嬉しいに決まってんだろ!離したくなくなんだろーが、ばか!!」
「ホ、ホントに…?」
「ったりめーだ!俺だって大好きだし、…幸せに、決まってんだろ」


阿部くんをちらっと見れば耳まで真っ赤で。
なんだかかわいいなって笑ったら、阿部くんに少し怒られた。

でも、なんだか顔が緩むのが止められなくて。
阿部くんも、俺と同じ気持ちなんだ。


「笑いすぎ」
「ふひっ」
「ったく、ばーか」


結局、阿部くんだってまた笑ってる。

胸の辺りが、とってもあったかかった。





キスしてき締めて

(二人笑いあう)
(それだけでもできる幸せのカタチ)





―――――
阿部誕ほとんど関係ないぞこのやろ(`・ω・´)笑
ただイチャこらw←
でも阿部大好き!



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