「お疲れー」
「お、浜田じゃん」
「久しぶりっすね、部室に来るなんて」
「うん、泉迎えに来た」
「あ?」
「そんな不機嫌そうな顔すんなって」


着替え始めただろう時間を見計らって、俺は野球部の部室へと顔を出した。

理由はもちろん、泉を迎えに来るため。
だって今日は泉の誕生日!
朝からずっとみんなに祝われてたから、まだおめでとうって言えてない。
これから言うつもり。
夜くらいは、恋人の俺と…なんて、なーんてね!

だけど泉は眉間にぎゅっとシワを寄せて、明らかに不機嫌な顔。
…あれ、俺なんかした?


「おら、出てけよ」
「え、ちょっ…泉?」
「まだ着替え中だろーが、校門で待っとけっての」
「うわっ」
「はい、さようなら」


バタンとドアが閉められて俺は外に放り出された。

…俺ってば、泉の誕生日に泉怒らせちゃったの!?
うわーどうしよう!
最近一緒に帰れなかったの怒ってんのか?
でもそれは泉のプレゼントを買うために…!


「…しょうがないか」


どうすることも出来ない俺が、そのまま校門へと足を進めた、その時、





「なぁ泉ー、浜田に態度キツくねーか?」





聞こえてきた田島の声に思わず俺の足は止まった。


「…は?」
「あ、俺も思ったー」
「せっかく泉のこと迎えに来たんだろ?」
「…なんで」
「誕生日だからだろ?」
「俺、浜田さん今日のためにバイト増やしてたって聞いた」
「…」
「もーちょい優しくしたっていいんじゃね?」


さらに聞こえてきたみんなの声に、ガッツポーズ。
ナイスアシスト!


「…」
「なに怒ってんだよ」
「なんかあったのか?」
「泉?」


できれば、なんで怒ってるか知りたいなー…。
今後のためというか。


「…ムカつく」
「あぁ?」
「なにがだよ?」
「浜田がだよ!!」


やっぱり俺ー!


「泉はそんなに何を怒ってんだよ」
「…フツー、恋人なら、一番最初におめでとうって言うんじゃねーのかよ」
「「は?」」
「浜田のやつ、朝からなんも言わねーし」
「「…はぁ」」
「俺のため、とかバイトするくらいなら一緒にいてほしいに決まってんだろ」
「「…」」
「今さら迎えに来るとか、遅いんだっつの!」


あの、えっと。
言葉が、でないんだけど。

その、つまり、泉は、


「要するにアレか」
「…んだよ」
「泉、寂しかったのか!」
「なっ!?」
「だなー」
「泉ってばかわいー」
「ち、ちっげーよ!寂しくなんかねーよ!」


…ね、俺入っちゃってもいいよね?いいよね!

泉ってば、ホントかわいくて困る!!





その言葉の味を

(深く心に刻み付けた)
(なかなか聞けない、君からの、)





「いっずみー!」
「うわっ!ちょ、浜田なんでお前…っ!」
「ごめん聞いてた」
「っ、てめぇ!」
「おめでとう、誕生日おめでとう泉!」
「〜っ!」
「もうかわいーなー泉ってば寂しかったなんてー」
「うっせ!寂しかったなんて言ってねー!」
「とりあえず今はぎゅーってね、ぎゅー!」
「だあぁああぁ!離せ死ねクソ浜田あぁぁっ!!」



―――――
ちょ、わたし何してんだよってね\^q^/爆
浜田がおかしなことに…!
でも楽しかったから後悔していない(笑)
こんなので泉誕と果たして呼べるのだろうか←



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -