「(………あ)」
気付いてしまった。
席替えをしたばかりの新しい席は、グランドがよく見える。
そして、今日この時間。
七組は体育だ。
「(あーぁ、もう…阿部にいじめられちゃって)」
思わずクスッと笑ってしまう、と同時に、チクリと胸が痛む。
野球部にしてはあの長い髪で、いつもにへらっと笑っているアイツ。
彼に心を乱されるのは、もう何度目だろうか。
「(…クソレフト)」
阿部がよく言うアイツの名を呼んでみたら、余計苦しくなってしまって。
視線を外した。
うらやましい。
あのポジションが。
じゃれあうことの出来る、そばにいることのできるポジション。
「(…阿部に、花井にまで嫉妬するなんて)」
どこまで俺はバカなんだ。
自分に嫌気がする。
…水谷が、好き。
好きだから、苦しい。
こんな感情知らなかった。
誰かに嫉妬するのも、想うのが辛いのも。
俺…、ホントおかしい。
水谷のこと、好きになるなんて、さ。
外した視線をもう一度水谷に戻すと、さっきまで泣きそうだった顔は、笑顔に変わっていた。
水谷は無理矢理に阿部と花井と肩を組んでいた。
阿部は眉間にシワを寄せて、花井は呆れて。
それでも結局、仲良さげに笑いあって。
…悔しい、なぁ。
俺もそこに立ちたいよ。
バカ水谷。
窓際の特等席
(君を見つけて熱視線)
(ね、気付いてよ)
すきだよ。
どうやっても、水谷が好きなんだよ、だから、
「…振り向け、バカ」
―――――
初めての水栄が水←栄っていうね(・ω・)笑
水栄はわたしの中でくっついてればバカッポーなんですけどね←