※ツナが山本を置いていった世界の話です



一人で過ごす放課後は、なんの色も持たない、灰色の世界なんだ。


「(俺は一人で…何、してたんだっけ)」


ぼーっと机に頬杖をついて空を見上げる。
空には青が広がってる。

“綺麗だね”

そういえばよく屋上で空見ながら昼飯食ったのな。
確かに、あの時は、綺麗だと思ったのに。


「(何が、綺麗なんだ)」


あんなにも綺麗だった空に何も感じはしない。
むしろ胸が苦しくなる。


だって、俺は一人だ。

楽しかったあの日々は、もう全部過去のもの。


「……なんで、俺のこと置いてくのな…?」


―――ツナ。


声にしたら、余計に苦しくなりそうで言葉には出来なかった。

ツナがここにいたことも、ツナに抱いた感情も、交わした言葉も記憶も。
全部、思い出になる。
そんな気がした。


「思い出、か…」


もう思い出なのだろう。

現に、今ここに、あの小さな温もりはない。
遠く離れた場所で、きっと頑張ってる。
非日常的な世界で一生懸命に、あの子なりに。





俺とはもう住む世界すらも変わってしまった。





わかってた。
ごっこじゃないのも、ツナが俺を巻き込むのを嫌がっていたことも。

それでも俺は、ツナのそばにいたかった。
笑っていてほしかった。


俺が、守りたかった。

…もう、出来ないけど。


俺を守るために、俺を置いていった。

だから、何も言えなくて。
追いかけたい、でも、追いかけたらきっとツナは、


「(泣く、よなぁ…)」


たとえボスという立場となっても、ツナは他人のために泣くだろう。
ツナに泣いてなんかほしくない、俺は笑ってほしいだけなんだ。

追いかけなくていい。
忘れた方がいい。
ツナを傷付けるより、傷付く方がいい。


「―――好きだったよ」


ツナ、俺は、本気で。

俺がもっと大人なら、ツナのこと、さらって逃げられたのかな。





き、き、きだった

(過去形になんて)
(ホントは絶対、出来っこないんだ)





ツナがいない灰色の世界に一人でいる、意味なんてなかったのに。



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シリアス風味(Д)!←
ツナが山本を置いてったバージョンです、はい。
なんかすごい山本が独白してるだけだ…汗



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