※阿三以外はノーマルです



「…べくん」
「…」
「阿部、くん」
「あ?」


聞こえた声に振り向けば、予想通り、そこには今にも泣きそうな三橋がいた。


「なに、どーした」
「…」
「…言わなきゃわかんねーだろ?三橋」


いったい、どうした。
いざこれから投球練習だと言うときに。
投げることが好きな三橋がそれを遮ってでも俺に話しかけている。

泣きそうに、なって。

防具をつけていた俺の手はとっくに止まっていた。


「三橋?」
「う、あっ、その…」
「…」
「えっ と」


おどおどし始めた三橋に俺はだいぶ慣れたらしい。
待てる、俺は待てるぞ。
愛の為せる技だとか言ってやろうかコラ。


「あ、う…」
「(それにしても今日は間が長いな)」
「〜っ…」
「(しかも最初から泣きそうになってたし…)」
「…ぐすっ」
「!(やべぇ、泣き出したら田島や泉が飛んでくんじゃねーか!)」


何も言わず、ついには涙ぐんだ三橋に、今度は俺が焦る番だった。

このままじゃ確実にすげー面倒なことになる。
三橋の言いたいことも聞けずに、泉に怒鳴られる。

それは、困る。


「…ふぇ」
「(…しょうがねー)」


俺は止まっていた手を再び動かし、素早く防具をつけると、


「…っ!」
「行くぞ、話ならあっちで聞いてやっから」
「あ、あ、阿部くっ」


三橋の手をとって、ずんずんと歩き出した。


「あ、阿部く 手…!」
「…」
「み みんなが見て、る」
「…俺がお前を引っ張ってるだけだろ、過剰になんなくていい」
「…っ」


確かに周りがちらりとこちらを気にしている。
だけど、それは俺が三橋に怒っているのではないかという心配だ。

付き合っているなんて、誰も、思っていない。
…思う、わけがない。


「あ、べくん…」
「んー」
「あの、ね」
「?」
「阿部くん 俺の、こと…ホントに、好き…?」
「……はあぁぁ!?」


動いていた足が思わず止まり、大声が出た。

…何言ってんだコイツ。


「好きに決まってんだろ」
「…」
「信じてねーのかよ」
「信じてる、けど」
「けど?」
「阿部く、告白…されてたって 水谷くん、が」
「(…クソレめ)」
「やっぱり、女の子の方がいい かなって思…って」


その時、三橋の堪えていた涙が一粒落ちた。

あぁもう、なんでコイツはこんなに。


「俺、男 だから」
「…」
「いつ嫌いに、なられても…しょうがな い」
「…三橋」
「かわいくも ない、それに…他にも、」


なんでコイツは、こんなにぐるぐるすんだろう。
俺が嫌いになったなんて言ったわけでもないのに。

…まぁ、俺と三橋の関係から言えば、仕方のないことかもしれない。

男同士、だし。


「…それでも」
「…え?」
「それでも、俺は、お前が好きだよ」
「…!」
「男でも、なんでも、三橋だけが好きだ」
「阿部、くん」


俺は、握っている三橋の冷たい手に力を込めた。
俺の体温、三橋に。


「そりゃ、不安になるかもしんねーけどさ」
「…」
「告白は断ったし」
「そうなの…?」
「おう、…それに」


驚き、きょとんとした三橋の顔をもう一度しっかりと見た。

そして少しだけ微笑んで言葉を紡げば、三橋の手がカーッと熱くなっていく気がした。


“お前以外を好きになれる自信なんてねーよ”

“もう、お前しか愛さないつもりなんだけど?”





戻れない所までたんだ

(だから絶対に)
(この手は離さない)





とりあえず、部活が終わったらクソレはシメる。



―――――
長くなっちゃったー!汗
そのわりになんつー内容の薄い話(`・ω・´)←
シリアス、にした、かったんだよーう←黙れ
阿部にはさらっとキザなセリフ吐いてほしい(笑)



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