今日の阿部くんは、甘えたい気分?


「あ、阿部?」
「んだよクソレ」
「や、えっと…その」
「ハッキリしろ」
「…この状況は、なんなんでしょうか」
「は?」
「だ、だから、なーんで阿部が俺に抱き付いてるのかなー、って!」


こちらを見た水谷くんと目が合った俺は、よくわからないままとりあえず微笑んでみた。

すると水谷くんは、ものすごい顔を歪めていた。


「あ、阿部にはみは「クソレてめーつまんねー」
「えぇ!?」
「チッ………栄口ー」
「今度は俺!?」


阿部くんは、俺に視線を向けると、今度は栄口くんに抱き付いていた。

そう、抱き付いている。

今日の阿部くんは甘えたい気分なのか、さっきからみんなに抱き付いている。
水谷くんの前は、巣山くんに、それから西広くん。

ぎゅーって、してた。


「栄口ー」
「阿部、なに」
「別になにも?」
「じゃあ離れよっか」
「なんで?」
「阿部えぇ!栄口は俺のなのおぉぉ!」
「うぜーなクソレ」
「離れてよー!」
「…あ、花井」
「うわっ来んな!!」


今度は、花井くん。

いくらなんでも、おかしいよ、ね…?
こんなに人に抱き付いてまわるなんて。


「キャプテンのハーゲ、あずさあーずさ」
「この、タレ目!」
「残念タレ目は悪口には入りませーん」
「阿部ー、花井からかうのはいいけど、抱き付くのは俺の特権だぞ!」
「おー、悪いな田島」
「そう思うなら離れろ!」


阿部くんは、花井くんに抱き付いてる間もずっと、俺に視線をくれていた。

俺にも、甘えたい…の?


「…」
「あーべえぇー」
「今日の阿部うざいな」
「水谷もうざいな」
「いい加減に離「なんで」
「「は?」」
「あ、阿部く…?」


阿部くんは抱き付いていたかと思うと、バッと離れてツカツカと俺の方へと歩いてきた。


「なんでだよ!」
「え?」
「お前は、なにも、思わねーのかよ!」
「え、ぇ?」


阿部くんは俺の前に立つと今度は俺を抱き締めた。


「あ、べくん」
「俺たくさん他のやつに抱き付いてんじゃん!なんとも思わねーの!?」
「ぎゅー?」
「そう、ぎゅー!」


その通りに阿部くんは俺を力強く抱き締める。
ちょっと苦しいくらい。


「俺ばっか好きみたいだろ…ヤキモチくらい、妬いてくれよ」
「ヤキモチ…?」
「俺が他のやつに抱き付いて、嫌とか思わねー?」


嫌、って、思う?


「…阿部、くん」
「……なに」
「俺、阿部くんが 好き」
「知ってる」
「それから…、阿部くん は、俺が好き」
「…そうだけど」
「だから、俺、嫌って思わない よ」
「…は?」


阿部くんは俺と目を合わせると、きょとんとしてた。
あ、かわいい。


「俺、阿部くんの一番だって、わかってる から」
「…!」
「他の人は、いいんだ」
「三橋…」
「俺も阿部くんが、一番好き、だから!」





対的理由

(俺は君が好きで、君は俺が好きで)
(それ以外いりますか?)





「…」
「阿部、くん?」
「…悪かったな、俺、勝手にいろいろやって」
「気にしてない、よ?」
「…三橋、好き」
「俺も 阿部くん、好き」
「三橋の一番は、俺、なんだもんな」
「俺、阿部くんの一番 すごい嬉しい、よ!」
「…三橋、お前ってホントかわいすぎて困る」
「うひ?」
「三橋、大好き」
「大好き?」
「大好き」
「大、好き!」


「俺らってなんなの」
「また巻き込まれた…」
「…やめてくれ」
「俺はもう慣れたぜ」
「「慣れんな!」」



―――――
れっつバカッポー!←
ヤキモチ妬かせようとする阿部が生かしきれてない残念な結末(`・ω・´)
2500のキリリクとしてハナさまにお贈りします!
ハナさまのみお持ち帰り可でございます



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