「ツナー!」
屋敷中に、その大きな声が響いたのはつい数分前のことだった。
「や、山本!?」
「ツナそこかー!」
声の大きさに慌てて部屋の窓から顔を出した。
すると、下の中庭に1人山本が立っていた。
それはもう、爽やかな、にこやかな顔で。
「ツーナー!」
「おい野球バカ!てめーうっせぇんだよ!!」
山本が何度も俺を呼ぶもんだから、獄寺くんが怒鳴って。(獄寺くんも十分声大きいと思うんだ)
そのせいで、屋敷が騒がしくなった。
「獄寺は関係ないのなー」
「黙りやがれ!」
「ツナー、なぁ、俺の声聞こえるー?」
「き、聞こえてるから、とりあえず静かに…」
「ツナ俺なー!」
山本はブンブンと手を振っていた。
俺の話は無視だ、っていうか聞いてない。
あぁ、もう…!
部下とかもいるんだしそんな大声で呼ばないで…!
「や、山本!」
「お?なにツナ」
「とりあえず上に来て!話なら中で聞くから」
「…」
「…山本?」
「…今がいいのなー!」
…どうやら、上がってくる気はないらしい。
にこにこしたまま俺を見上げている。
もういい。
山本は一度言ったら聞かないし、諦める。
「…なに、山本」
「聞いてくれんの?」
「…手短にね」
「やりー!」
…ボンゴレ内でも、実力はトップクラスの雨の守護者で、人望も厚い。
そんな彼がこんなことをしているなんて。
きっと、今この状況を見ている部下たちは驚いているはずだ。
たぶん(いや確実に)中庭を見下ろす窓はほとんど開いている。
「ツナ、空見て!」
「え?」
山本に言われて空を見上げると、そこには綺麗な青空が広がっていた。
「空、綺麗だからさ」
「うん?」
「叫びたくなった」
「…何を?」
俺が尋ねると、山本は、今度は不敵に笑った。
あれ、なんか、前にもこんなこと…。
…!
「俺「ちょっ、山本待ってダメだストップ!」
十年前にも、同じようなことがあったんだ。
空が綺麗だから、って。
ここで言われたらものすごく困る!
嬉しいけど、その何倍も恥ずかしさが勝る!
だから、やめて山本!
「や、山本っ」
「やめ………ない!」
「…!」
山本は、すうっと大きく息を吸い込むと、空に向かって声をあげた。
「ツナが好きだー!」
「これからもぜってーツナの傍にいるから」
「それで強くなる」
「だからツナは、俺の傍で笑ってるのな」
「約束な!」
「ツナ、大好き!」
…言ってしまった。
俺の顔は赤くなるし、山本はなんか誇らしげだし。
十年前とはもう、環境も違うのに。
変わらない、山本の言葉。
でも、俺は変わった。
あの時言えなかった言葉、今なら、言えるよ。
「俺だって、大好き!」
真っ赤になった顔でそう叫んだら、今度は山本が赤くなる番だった。
青空に届け!
(あの日からずっと)
(変わらない君との愛)
―――――
十年後も青春な山ツナ…
あたしは青春の意味を履き違えてると思うんだ←
ただのバカップル←
こんなのですみません!
ハイオクさまに捧げさせていただきます∩^ω^∩