「誕生日おめでとう」


そう呟かれた言葉に、胸がじんわりと熱くなった。
だって、嬉しくて。


「なに、お前、そんな泣きそうなんだよ」


目の前で花井は、困ったように笑っていた。
笑いながら、優しく俺の頭を撫でていた。


「はない」
「ん?」
「ありが、とう」
「おー」


そう言って花井に抱き付けば、今度は嬉しそうに笑っていた。

あ、どうしよう。
やばい、なんかホントに涙でてきたじゃんか。


「泣くなよ」
「だ、ってさ」
「うん?」
「…花井が」
「俺が?」
「おめでとう、って」


花井が、俺のことを、祝ってくれたから。

今日は俺の誕生日だから、みんなが祝ってくれて。
三橋と泉と浜田はプレゼントだってくれた。
他のみんなだって、おめでとうって言ってくれた。
もちろん嬉しかった。

だけど、だけど、


「花井が、祝ってくれたのが、すっげー嬉しいんだ」


こんなにも、自分の誕生日が嬉しいだなんて初めてなんだ。
ケーキとか、豪華なメシとか、すげープレゼントなんかよりもずっと。

言葉が、嬉しいなんて。


「…田島」
「ん」
「部活あっから、プレゼントとか、ちゃんと選ぶ時間なくてさ」
「いらねー、花井が…いればそれでいい」


心からそう思った。
好きで好きでしょうがない花井がいれば、俺はそれで幸せなんだ。


「な…んだソレ」
「花井がいれば、俺はそれで、幸せなんだもん」
「…っ!」


ばっと顔を上げて、ニッと笑えば、花井は顔を真っ赤に染めていた。


「花井、好きっ」
「…おー」
「花井は?」
「…」
「はーなーいーっ」
「…だよ」
「なにー?」
「好きだよ、田島」


顔を赤くしながら、俺にキスをした花井は、やっぱりかっこよくて。


「花井っ、大好き!」


やっぱ花井がいれば、誕生日プレゼントなんかいらねーって思った。

どうしたんだ、俺。
花井が好きすぎるんだな!ゲンミツに!!


「はいはい、わかったから暴れんな」
「花井花井っ」
「んだよ」
「責任取れよな!」
「は?」
「俺、もう、花井なしじゃ生きてけねーから!」
「な…!?」
「そばにいてくれよ」


そう言って花井を見つめれば、驚いた顔をした後、ゆっくり、優しく笑った。


「言われなくても、そのつもりだったけど?」
「…!」
「俺だって、お前なしじゃ生きてけねーよ」


ぎゅっともう一度抱き締められて感じた花井の体温が、やけに、嬉しくて。
どくどくと波打つ心臓が、花井が好きだと言い続けている気がした。

これからも、花井と、一緒にいたいんだ。
おめでとうって、花井に言ってほしいんだ。

それが、幸せなんだ。





がいればそれで

(他にトクベツなものはいらない)
(君が俺の幸せだから)





―――――
HAPPY BIRTHDAY 田島!
おめでとー!ヾ(・m・。)
ゲンミツに打つかっこいい田島が大好きですw
こんな話だけど09田島誕といたしますっ∩^ω^∩



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