ツナ、今から外出れる?


そんなメールに気付いたのは、届いてから三十分後だった。


他にもメールはあったけどさっき届いたばかり。
さーっと血の気が引いていくのを感じた。
三十分前って…!

ばっと部屋のカーテンを開けて玄関を見れば、そこに座り込んだ山本がいた。


「(山本…!)」


俺は夜中にも関わらずどたどたと走った。

だって…だって!
三十分もの間、きっと山本は待ってたんだ。

しかも、外で。

秋になって、寒いに決まってるのに。
山本だって、きっと寒かったのに。
それなのに、山本は待ってたんだ。


「………っ、山本!」
「おーツナ…よかった、起きてたのなー」


バタンとドアを開けば、にこりと笑う山本がいた。


「ば、バカじゃないの?」
「え?なんで?」
「俺が寝てたら、どーするつもりだったのさ!」
「んー、まぁツナ起きてたし、いいじゃん」


山本を見れば、やっぱり少し鼻が赤くて。
とてつもなく申し訳ないような気持ちになった。


「ごめん、山本…」
「気にすんなって!俺が勝手に来たんだから、な?」


そう言ってぽんぽんと俺の頭を撫でる山本の表情は、すごく温かかった。

あぁ、俺、山本のこと好きだな、なんて思う。


「…それで、山本」
「ん?」
「どうしたの?」


いったいなんで、こんな時間に家に来たの?
もうとっくに12時を過ぎている。


「あー、今何時?」
「12時過ぎてるけど」
「うっそ、マジ?」
「マジ」
「…あちゃー」


山本は少し残念そうな顔をしたけれど、すぐにパッと顔を明るくした。


「誰かから、電話きた?」
「きてないよ」
「メール、は?」
「きてたけど…まだ見てないんだ」


山本の、一番に見たから。

そう言うと、山本は今日一番の笑顔見せた。


「そっかそっか」
「?」
「よかったのなー」
「なにが?」
「ははっ、ツナ、今日何の日か気付いてねーの?」
「え?今日って…」
「10月14日」
「………」
「もう今日は14日だ」
「…あ」
「わかった?」


目の前で山本がにこにこする理由、それは、


「誕生日、だ…俺の」
「正解なのな」
「忘れてたよ…」
「忙しかったしな」
「覚えてて、くれたの?」
「当たり前だろ?」


ふっ、と山本は、一瞬で真剣な顔になって、ぎゅっと俺を抱き締めた。


「わっ…」
「だってツナのことだぜ?ちゃんと覚えてる」
「やまも、と」
「ちゃんと会って、一番に言いたかったんだ」
「…っ」
「ツナ、おめでとう」


山本は、ぎゅうぎゅうと力一杯俺を抱き締める。
…どうしよう。
苦しいけど、嬉しい。

こんなことが、すごく、すごく嬉しいんだ。


「ありが、とう」
「うん」
「山本、ありがとう」
「うん」
「…大好き」
「俺も、大好き」


嬉しくなって、俺も山本をぎゅうっと抱き締めた。


「ね、山本」
「ん?」
「来年も再来年も、山本が一番がいいな」
「当たり前だろっ」





来年も来年も

(君だから、一番だよ)
(大好きな君だから)





―――――
HAPPY BIRTHDAY ツナ!
おめでとーツナ(^^)
かっこよさとかわいさ倍増なツナが大好きですw
こんなんですが09ツナ誕としますっ



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