顎を置いた肩は、息をするたび上下に揺れていた。


「阿部、くん」
「んー?」
「くすぐった い」


楽しそうに、変に笑う声がすぐ耳元で聞こえる。

ホントは嫌がってなくて、嬉しそうな声だ。
わかりやすいやつ。


「三橋いい匂いする」
「そう、かな」
「…なんか甘ったるい」
「お菓子…?」
「違うな、お前の匂いが甘いんだよ」


きゅ、と俺は後ろから抱え込むようにした三橋の腰に回す腕を強める。

またくすぐったそうに身動いだけど、気にしない。


「変、なの」
「うっせ」
「…」
「…」
「あ、阿部く」
「なに」
「どうした の」
「どうもしねーよ」
「でも」
「…こうしてちゃダメ?」


三橋は少し肩を揺らして、それから、腰に回った俺の腕に手を添えた。


「ダメじゃ、ない よ」
「…ならいーだろ」
「う、ん」
「…」
「…」
「…」
「…阿部くん」
「ん、なんだよ」


ふんわり、と三橋が笑ったのを感じた。


「阿部くん、甘えんぼ」
「…んだよソレ」
「かわ、いい」
「…お前の方がかわいい」
「うお」
「照れんな」
「だだだ、だって」
「かわいいって思うんだから、仕方ない」
「…今日は、阿部くんもかわいい、よ」
「かわいくない」
「かわいい、甘えんぼ、俺だけに、甘えん ぼ」


ふひ、とまた笑った。

俺がかわいいとか、どうかしてんのかこいつは。
…いや、三橋がかわいいと思う俺もとっくにどうかしてんのか。


「…たまには」
「え?」
「たまには、こういうふうにイチャイチャすんのもいいだろ」
「…うん」
「…」
「…」
「…三橋」
「な、に?」
「好き」
「…俺の方が、好き」
「俺だろ」
「俺、だよ」
「…ばぁーか」
「ふひっ」


たまになら、こんなのも悪くはないんだ。





今日も

(君は笑う)
(嗚呼、愛しい)





「阿部、くん」
「?」
「…キス、したい」
「!」
「ダメ かな」
「…めずらしいな」
「…ん」
「三橋、かわい」
「阿部くん、好き」


「ここはどこですか!」
「「ベンチです!」」



―――――
ただひたすらに甘々なバカップル(笑)
現場は休憩中のベンチ!
被害者もちろんらーぜ(主としては花井希望←)



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