死にたくなんてないよの続きになります



「俺、一緒に野球できたのが、お前らでホントよかったと思う」


いつもの帰り道、俺は、こっそり呟いた。
がどうやら全員の耳にしっかり届いたらしい。


「何、急に改まって」
「頭でも打ったのか?」
「…うっせーよ」


悪態を吐くが、目の前のにやけ顔は変わらない。
…くっそ、けらけら笑いだしやがって。

そう、思ったんだから、しょうがないだろ。


みんなが笑うなか、花井と栄口はいやに真剣な顔をしていた。
栄口に至ってはきっと、涙を堪えている。

二人は、おそらく、わかったらしい。
俺が、なんでこんなことを言い出したのか。

自分の身体のことは、自分が一番よくわかる。
もうそろそろ、限界だ。
だからこんな言葉が、口から零れたんだ。

悔しい、悔しい悔しい。
もう一緒に、いられないなんて、悔しすぎる。

まだ、俺は、ここで、生きてるのに。


「阿部、くん」
「…三橋、どうした?」
「…」
「三橋?」


ふと気付くと、それまで黙っていた三橋が、俺を見ていた。
真剣な、顔で。

そして、ゆっくりと、俺に抱きついた。


「み、みは…!?」
「…」
「…何、どうしたのお前」


きゅ、っと力のこもった三橋の背を、ゆっくりと撫でてやる。

この温もりも感じられなくなると思うと、一瞬、胸が苦しくなる。


「あ、べくん」
「んー」
「ありが とう」
「…は?」


三橋の言葉に耳を疑う。
急に、何、言って。


「俺のキャッチャーは、ずっと 阿部く、だよ」
「…!」


なんで、今、そんな。


「阿部くんのおかげ で俺は、前より、強く、なったよ ね…?」
「…そうだな」


いきなりこんなこと言い出して、三橋、お前は。


「お前は、強くなった、だから負けねぇよ、誰にも」
「…う、ん」


三橋…お前きっと、気付いてるんだよな。
もう一緒には、いられなくなるってことを。


「………なぁ、三橋」
「な、に」
「あんまり、泣くなよ…試合中とか、さ」
「…うん」
「笑ってる方が、いい」
「…」
「俺は、お前の笑顔が、好きだから…笑ってろよ」
「笑うよ、泣か ない」
「約束、な」
「やくそくする よ」
「…ん」


俺は、優しく、ゆっくり、三橋の額にキスをした。


ホントは全部、気付いてたんだな。
それでも、泣かなかったんだな、お前。
いや、泣いたのかもな。

ホント、すごいよ、三橋。

…離れたくなくなんだろーが、バカ。





を見上げた

(ただ、涙を堪えた)
(もう最期だなんて、思いたくなくて)





「こらそこー!イチャつくなよなー!!」
「イチャイチャ禁止ー」
「うっせー」
「う、うひひ」


最期だ、なんて。



―――――
きゃー!続編!!←
三橋は、なんか雰囲気で感じとっちゃうんですよ
阿部のために言わないけど



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