よくわからないんだ。

嬉しい、楽しい。
悲しい、苦しい。

どれもよく似ているけど、どれも少し違うんだ。
なんて、呼べばいい?


「うーん…」
「なに、どーしたツナ」
「ちょっとね」
「考えごとか?」
「そんな感じ」
「ツナの相談なら、いつでものるからな」
「うん、ありがとう」


優しいな、ホント。

またじわじわと俺の胸に感情が広がってゆく。
よくわからない、感情が。

いったい、いったい。


「十代目、なにか悩んでいらっしゃるんですか!?」
「悩むってほどじゃあ…」
「獄寺隼人、いつでもお役に立ちますので!」
「はは、ありがとう」


獄寺くんに抱く、ありがとうって気持ちとは違う。

特別な、気持ち。


「…んー」
「獄寺、こーゆーときはツナが話すの待つんだぜ?」
「うっせ、野球バカ」
「せっかく教えたのに」
「頼んでねーよ!」
「あー、あー、…あ?」
「お前だって十代目に話しかけだろうが!」
「だってツナがなんか悩んでるっぽかったし」
「俺と変わんねぇだろ!」
「まーまー」


俺を余所に、獄寺くんといつもの言い争い。
ケンカするほど仲が良い、って、二人はホントにそうだと思う。

…あ、今度は違う。
ずきずきと胸に広がる。
なんだか悔しくて。
胸が痛くなる。
さっきとは違うけど、さっきと一緒の感情だ。


「(わかんない、よ)」
「………ツーナっ」


ふと話しかけられると、つん、と額を小突かれた。


「わっ、な、なに?」
「眉間にシワ」
「えぇ?」
「ぎゅっと寄ってた」
「あ、…そっか」
「考えごともいいけどさ」
「うん?」
「ツナは、笑ってるほうがずっと似合うのな」


だからツナさ、あんま考えすぎんなよ。な?

そう言って笑うから、俺の心臓が飛び跳ねた。
あ…あれ、おかしいな。

ドキドキ、ドキドキする。


「………あ、そっか」


やっと、少しだけ、わかった気がする。
全部はわからないけど、なんとなくこの気持ちは。


「ねぇねぇ」
「ん?」
「あのさ、俺って」


きっと、この気持ちは。





「好き、なのかな」
「?」
「山本のこと」





「………え?」


そう言ったら山本はぽかんとしていて。
獄寺くんは、口をパクパクしていた。

もしかして、言っちゃいけないこと、だった?


「あ…ごめん、なんか」
「…好き?」
「うん、好きなのかなーって、思って、さ…」


ヤバい、どうしよう。
俺もしかしなくてもすごい変なこと…っ。

焦っていたら、山本は、急に笑いだした。


「はは、はははっ!」
「な、なんで笑って…」
「だって、なんで疑問系なんだよ、あーもう」


ひーとお腹を押さえた後、山本は顔をいつもより赤らめて笑った。


「ドキドキ、する?」
「?」
「俺と、いると」
「…うん」
「他の人たちとは違う?」
「うん、違う…」


恥ずかしくなって俯いていたら、頭を撫でられた。

顔をあげると、優しく山本は微笑んでいた。


「好きなんだよ」





疑問系の

(好き、なのかな?)
(好きなんだよ)





「…そっか」
「俺もツナのこと好き」
「え…ホント?」
「あぁ、大好きなのな!」


やっぱりこれは、恋心。



―――――
山←ツナにしようとして山→←ツナになりました(笑)
無自覚だったツナ!



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