「阿部…くん?」
寝て、る?
目の前に座る阿部くんからは、規則正しい寝息が聞こえている。
座ったまま、寝てる。
「疲れてる、もんね」
俺も疲れてないわけじゃないけれど。
動かしていた手を止め、そっと阿部くんに伸ばす。
少し硬い黒髪に触れると、さらりと流れる。
「ごめん、ね」
俺が勉強に付き合わせてしまってるから。
阿部くんは、数学見てやるからって、俺の家に来た。
…この前、小テストが悲惨な結果に終わっちゃって。
今日は、二人で勉強会。
だったんだけど。
「阿部くん、ここ…」
俺が阿部くんに出された問題に苦戦していて。
しばらく黙ってて。
ヒントを貰おうと顔を上げたとき、阿部くんは動かなかった。
「…………ん」
阿部くんの顔きれい。
かっこいいんだもんね、当たり前か。
だけど目が閉じられていると、いつもより、幼い。
阿部くん、シニアのとき、かっこいいより、かわいいだったんだろうな。
なんて、言ったら怒りそうだけど。
でも、かわいい。
こんな風に、阿部くんが無防備に眠るなんて。
普段はあまり、いや、ほとんどない。
…よっぽど疲れてるんだ。
いつもそんな素振り見せないからやっぱりすごい。
なんだか特別なものを見たような気分。
「…がんば、ろう」
せめてこの一問は自分の力で頑張ってみよう。
阿部くんが起きたとき、出来たよ、って言えるかな。
そしたら阿部くん、褒めてくれるかな。
うたた寝
(無防備に眠るあなた)
(俺だけの特別)
わかんない、けど、頑張るんだ、自分で。
…かわいい、な。
って、いけないいけない。
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阿部にきゅんとする三橋が書きたかった、はず!←
すみません管理人が眠いんです(`W´)←