※死ネタ注意



なんのために、俺は、ここにいたんだろう。
…なんの、ため?


「くそ…っ」


ツナを守るためだ。
ずっと、そばにいたくて、俺は。

なのに、守れなかった。
守れなかった…!


「ごめん…ツナ」


ぼろぼろと零れる涙は、止まることを知らない。
いい大人がこんなふうに泣くなんて。

でも、止まらない。


「う、ぁっ…」


あんなに温かかったのに今はもう冷たい。
あんなに柔らかだったのにもう笑ってはくれない。
あんなに透明だったのにあの声はもう聞けない。


『やまもと』


あんなに大好きだった君はもうそばにはいない。


『好き、だよ』


もう出来ない。
抱き締めるのもキスをするのも、なにもかも。

出来ないんだ。


「…ツナ」


世界で一番愛した人が、この世にはいない。
その事実は、俺の胸に痛いほどに突き刺さる。

ツナが眠る棺桶を前に、思わず膝をついた。
力が入らない。
苦しい、苦しい苦しい。


「ツナぁっ…!」


会いたい、会いたい。

…笑ってほしい。
抱き締めたらツナが照れながら笑うんだ。
それから俺の名前呼んで、好きだよ、って。

好きだ、って。


「…好き、好きだ…ツナ」


俺も笑いながら好きって言って二人でべたべたして。
たまに小僧に怒られて、獄寺は相変わらずで。
みんなみんな、変わらないで、ずっと。

ずっと続くはずだった。


「なんで…先に、逝っちまうんだよ、ツナ…!」


だけど、ツナだけ。
ツナだけがいなくなった。
ツナがいなきゃ、なんの意味もねぇのに…!


なぁ、なんで。
こんなにもまだ、俺は覚えているのに。
瞼を閉じればすぐに、思い浮かぶのはツナなのに。

それなのに、ツナは。





「………は、ぁっ」


しばらくツナのそばにいた俺はようやく立ち上がる。

…もう、何度目だろうか。
こうやって、ツナに会いに来て、泣き崩れるのは。
泣くくらいなら、来なければいい。

だけど、


「…ツナ」


どこかでまだツナが生きてる気がしてしまうから。
そして来る度に、いない現実を叩きつけられる。

いつか、俺は、前を向けるのだろうか。
ツナがいない現実を、受け入れられるのだろうか。


「…雨、か」


空からは雨が降る。
まるで、涙のように。

…俺が泣かなくなる日は、きっと、





雨が止むとき

(そんな日は、きっと来るはずがない)
(だってそれは、君を忘れるってことだから)





なぁツナ、元気?
やっぱ…会いてぇよ。



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涙雨とは悲しみの涙が化して降るといわれる雨です。
この言葉を聞いたとき、どうしても使いたくてこうなりました←



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