「阿部」
「あー?」
「お前さ、自重って言葉知らねーの?」


今日は、花井の何気ない一言から始まった。


「ばかにしてんのか」
「いや、本気で」
「そんくらい知ってるに決まってんだろ」
「じゃあなんでしねーの、つか出来ねーの?」
「それ、そっくりそのまま花井に返すけど」





ある下がり





「は?俺?」
「そ、俺は花井こそ自重すべきだと思いまーす」
「いや、阿部だろ」
「俺は自重しなきゃならないことなんかしてない」
「十分してるだろ」
「してねーよ」
「じゃあ部活中に三橋ガン見すんのやめろよ」
「無理」
「ほら自重「だってあいつ危なっかしいだろ」


はぁ、と花井がため息。

え、ごめん。
ため息つきたいの俺。


「別に、お前が見てなくたって泉とか栄口とかが三橋のこと気にしてんだろ」
「あいつらは甘い」
「何が」
「三橋はほっといたらお前んとこの田島がいろいろ構うだろ」
「…なに、その、田島が邪魔みたいな言い方」
「実際邪「阿部」


今度は阿部がため息。

この二人の言い争いは今に始まったことじゃない。


「だってあいつ、わざわざ二人で話してるときに三橋連れてこうとするし」
「悪気はねぇよ」
「なくても、俺は三橋と一緒にいる時間が大切なんだよ。邪魔されたくない」
「…そこは、謝るけど」
「そういう花井こそ」
「なんだよ」
「部活中に抱き合うのはどうかと思うけど」
「そ、れは田島が!」
「でも花井、万更でもなさそうに笑ってるじゃん」
「…笑ってねぇよ」
「ま、それは田島からだしいいとしても、この前のは自重すべきだろ」
「この前?」
「差し入れでアイス食べたときでーす」
「なんかしたか?」
「田島がアイス、口元に垂らしてたら、キスして舐めとったろーが」
「え」
「あれは部員全員が自重しろって思っただろーな」


かぁっと花井の顔が赤く染まっていく。
うん、あれは俺も自重した方がいいと思ったよ。


「そ、そんときなら阿部もだろうが!」
「あ、俺?」
「自分でアイス手に垂らしといて、三橋に『舐めて』とか言ってたろーが」
「三橋は舐めてくれたぞ」
「そういう問題じゃねーよ!自重しろ自重!」


阿部、開き直ってるし。
…やっぱり自重って言葉、知らないのかな。


「だーかーら、俺よりも花井が自重しろって!」
「阿部だろーが!」


ぎゃんぎゃんと吠えあう二人に、何も動じなくなった7組ってすごいよね。

これ、何回目かな。
日常と化してるよね。

この前は、どっちの恋人がかわいいか、だったし。





(今日も阿部くんと花井くん元気だねー)
(水谷くんお疲れさまー)





「はいこれ差し入れ」
「わ、チョコだー」
「今日は何話してるの?」
「もぐ…どっちが自重すべきかだってー」
「へぇー」
「俺はどっちも自重すべきだと思うんだよねー」


「何か言ったか水谷!」
「黙っとけクソレ!」


「…ひどい」
「頑張って、水谷くん」



―――――
水谷の扱い\^^/←
阿部も花井も自重なんてしなきゃいい(笑)
何にも動じない7組←



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