「三橋!」
「う、うひっ!」
「大丈夫か?」
「う、うんっ、俺 大丈、夫 だ、よ!」
「そっか、よかった」


俺のそばに阿部くんが駆け寄ってきて、しゃがみこんで俺に話し掛けた。
ほっ、と阿部くんが安心しているのがわかる。

よかった…怒ってない。
表情は、眉間にシワがよって、なんだか怒ってるみたいだけど。
声色が、怒ってない。

でもそのかわり、すごく、心配そうな声だった。
…心配、かけた。
俺、嫌われる、かな。

嫌われるの、いやだ…!


「ご ごご、ごめ ごめんなさ、い っ!」
「あ?」
「ごめんなさ…ごめっ」
「なに謝ってんだよ」
「あ、阿部く…俺の こと嫌いに、ならな いで」
「はぁ?」
「嫌いにならな…っ、う…うぇっ」
「…ったく、なに泣いてんだ、ばか」
「ひっ、く」
「どこをどう考えたら、嫌われるってなんだよ」
「だって、阿部くんに、心配、かけ たっ…」


阿部くんに、無駄に、心配かけちゃったから。
阿部くん、俺のこと、嫌いになる。


「…あのなぁ」
「ふっ、うっ、えっ」
「たかが転んだくらいで、嫌いになるかよ!」
「…っ」
「そりゃ心配するに決まってんだろ!お前いつも危なっかしいし、ケガでもしたらって心配になんだよ!」
「う、うぅっ」


がーっ、と吠えるように阿部くんがまくしたてる。
や、やっぱり、怒って…


「怒ってねぇ!」
「…!(…な、なんで、わかったんだ)」
「どーせ怒って嫌われるとか思ってんだろ」
「…あぅ」
「…嫌いになんねーよ」
「……え?」
「三橋のこと、何があっても、俺は…好きだよ」
「あ…べくん」
「変なこと考えてんじゃねーよ、ばーか」


パッと立ち上がった阿部くんは、ふっと顔を背けた。

阿部くん…照れて、る?

背けた顔が少し赤い。
太陽のせい、ではないみたいだ。


「阿部くん、お、俺も 阿部くん、好き!」
「…知ってるよ、ほら」
「…?」
「手!早く立てって」


目の前に差し出された手。
その手は、俺の球を捕ってくれる、ぶっきらぼうで、でも優しい手。

大好きだよ、阿部くん。
嫌いになんて、ならない でくれ、ずっと。





そのを取り続ける

(阿部くんが、俺を嫌いにならないなら)
(ずっとずっと)





「なに、笑ってんだよ」
「ふへへ」
「変なやつ」
「(手、繋げた!)」



―――――
………誰だ!!←
甘いのを目指してこうなったという失態。



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