いつからこんなに臆病になったんだ、俺は。

本当は、違うんだ。

大好きだから、もっと、触れたいのに。
大好きだから、もっと、大切にしたいんだ。


「やま、もと?」
「…ん?」
「どうしたの、考え事?」
「あーいや、別になんでもないぜ」
「そう?」
「あぁ」
「ならいいけど、無理…とか、しないでね?」


ツナは、俺の顔を覗き込んで、心配そうな表情を浮かべる。

ひどく、愛しい。

表情にさえ、ドクドクと身体中が脈打ってしまう俺は、もうおかしいのか。


「山本…?」


触れたい、ツナに。
その柔らかな肌に触れて、ぎゅっと抱きしめて。

それから、


「山本!!」


ハッ、と意識を取り戻す。

俺、今、なに考えてた?
………あぶね。


「わりーわりー、ちょっとぼーっとしてた」
「…」
「…ツナ?」
「山本…具合、悪い?」
「っ!?」





ひやっ、とした何かが額に触れた。

な、んだ?
なにが、起こってる?





「〜〜〜っ!」
「熱、はない、よね」


気付いたら、視界いっぱいにツナの顔。
そして、大きな瞳が俺をじっと見つめていた。

額同士が、くっついてる。
くっ、ついて、る!?

やべ、近い。
ツナが、近すぎる。

なんかいい匂いがする気がする。ツナの匂いか。
…って、俺、変態かよ!


「山本?」
「う、ぁ?」
「ね、ホントに大丈夫?無理してない?」
「あぁ、平気…だぜ?」
「…具合悪くなったら、言ってよ?」
「わかったのな」


すっ、とツナが離れる。

行かないでほしい。
そのまま、ずっと、くっついていたい。

肩を抱き寄せて、思いっきり抱き締めたい。

どうしようもなく、ツナに触れたい。


―――だけど。


「…ツーナっ」
「?、なに山本」
「好き、だぜ」
「っ!」
「ツナ、好き」
「っ、…俺、も」


俺には、好きと言って、頭を撫でるのが精一杯。

好きだから、
この距離を守るので、精一杯なんだ。


今日も俺は臆病だ。

距離を壊すことがもどかしいほど難しい。


俺が変わらなくちゃ、いけないってのにな。





いんだ

(ツナに嫌われることが)
(嫌われたら、きっと俺は生きていけない)





「ツナ好きー」
「わかったってば………山本の、ばか」
「なんでなのなー」
「ばか、だからっ!」
「えー」



―――――
へたれな山本(^^)
ツナは待ってます!



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