いつからだろう。
友達、だったのに。

友達じゃなくなったのは。





わよくば





「ツーナっ」
「わ、っ……山本!」
「そー、山本」
「野球バカ!気やすく十代目に触れんじゃねぇ!」
「まーまー」
「ちょっ、二人とも!」


山本と獄寺くんが、またいつものようにケンカする。(いや、獄寺くんが一方的に、だ)
そんな光景すら、最早、当たり前のようで。
その空気がすごく好きで。

初めてこんなふうに、一緒に過ごす友達。
なにもかもが新鮮で、このままずっと続けばいいと思ってた。


でも、その関係を壊そうとしてるのは………俺だ。


「落ち着けって獄寺ー」
「黙れ!十代目に触れんじゃねぇ!そして消えろ!」
「それは無理なのなー」
「二人とも、いい加減にしてよ!まったく…」
「じゅ、十代目…」
「ははは」
「っ、この野球バカ!」


なんとかケンカは治まったけど、獄寺くんはまだ眉間にシワを寄せたままだ。
…まぁ、いいよね。
いつものことだし、うん。


「それで山本」
「ん?」
「どうしたの?」
「おー、そうだった」


思い出した、とでも言うように、山本は笑う。

その瞬間、少し、心臓が速くなったのは、内緒。


「今日部活休みなのな!」
「え、ホント?」
「おー!だからツナたちと一緒に帰ろーと思って」
「そっか、うん!」
「久しぶりなのなー」
「そうだねー」
「どっか寄って帰ろーぜ」
「いーよー」
「やりー」
「あ、今日は補習…」
「ないぜ!今日の俺たちえらいのなー!」
「うん、………っ!」
「だから野球バカ!十代目に気やすく触れんじゃ…」
「いーだろ、頭撫でるのくらい、あ、獄寺にもやってやろーか?」
「バカ言ってんな!」





…あぁ、だめだ。

今の俺には刺激が強過ぎ。





「あれ、なんかツナ、顔赤くねーか?」
「十代目、…まさか、熱でもあるんじゃ…!」
「なっ、ない、よ!平気だから!なんでもない!」
「そうですか?」
「無理すんなよ、ツナ」
「う、ん…ありがと」


そう言って笑うと、またわしゃわしゃと山本は俺の髪を撫でる。


触れられている箇所が、じわじわと、熱い。
まるで溶けてるみたいだ。

心臓が飛び跳ねてる。


こんなにも、こんなにも。


いつからだろう。
友達、だったのに。

友達じゃなくなったのは。

いつのまにか、山本を目で追うようになっていた。
いつのまにか、山本に触れられることがすごく嬉しくなっていた。

いつのまにか、山本に、


でも、わかってる。
山本は、無意識にやってるスキンシップだって。

…俺たち、友達だもん。
大事な“トモダチ”。


このまま友達でいるから、だから、もう少しだけ。

もう少しだけ、このまま。





(触れ合ったところから)
(全部伝わってしまえばいいのに、なんて)





「やまもとー」
「ん?」
「…帰り、なんか食べていこーよ」
「いいぜー!」



―――――
わォ、山←ツナ!←誰
ツナは言うつもりないんですよ、はい。
でもこれから山→←ツナになるから心配なしです(笑



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