「暑ー……」

気づけば夏。
緑の葉はさかんに揺れ、うだるような暑さがのしかかる。
むんむんと肌にまとわりつく空気に嫌気がさす午後の日差しに正直ほんとうに頭が痛くなるけれど、ふらふらする頭で窓のそとをみると、元気に遊ぶ坂田くん。
今日もかっこいい私の彼。


坂田くんとわたし。


夏休み前最後の授業をおえて、返ってきたのはぼろぼろのテスト。ああどうして私はこんなに頭が悪いんだろう…はあ。
私と坂田くんは仲良く2人で補習にひっかかり、この冷房のきかない部屋でずっと勉強している。あつい。あつすぎる。
噴き出す汗が首をつたって、シャツが肌にはり付く。ときおり吹く生暖かい風すら気持ちよく感じて、わたしは溜め息をついた。
坂田くんは補習にでないで、外でサッカー部の人達と遊んでいることがおおい。…おーい。補習はー?

「坂田くーん」
「おーちゃんと勉強してっかー」
「坂田くんもでしょ」
「体育の勉強です」
「もー」

くすくすと私が笑うと、それ以上の笑顔で坂田くんが笑ってくれる。あーしあわせだなあ。

「おいそこのバカップル、お前らのせいで暑さが増しまさァ。どっかいきやがれ」

剣道部の走り込み中らしい沖田くんが遠目から呆れたような目で見ていた。うっわ恥ずかしい!みられてた!

「うるせー負け組」
「誰が負け組でィバカップル馬鹿がうつる」
「沖田くんひっど」

はた、と沖田くんの動きが止まって、わたしの方にずいっと顔を寄せる。うわっ近っ!沖田くん近い近い!

「もったいねェです」
「へ?」
「旦那なんてやめて俺にしやせんか」

にやっと笑う沖田くん。え、なに?これ告白されてる?わたし。いやいやいやちょっとちょっと、

「バカ!!!!!」

がすっと鈍い音が響いて沖田くんが前にのけ反る。思いっきり叩いたのは坂田くんだった。

「誰がテメエなんかにやるか!!」

そんな風に坂田くんが本気で怒るから。
…やばい。照れる…ただでさえこんな暑いのに、顔が火照ってしょうがない。坂田くんの手をぎゅっと握ると、坂田くんは目を丸くしてこちらをみた。

「坂田くん」
「なに?」
「わたしが好きなのは坂田くんだから」私が笑うと、沖田くんは「ちぇーやっぱりバカップル見てると馬鹿になりやす。どっかいけバカップル」と言い残して走り去って言った。
坂田くんはずるずるとその場でしゃがみこんで、

「おま…」
「?」
「それ反則…」

めずらしく赤くなった顔をふせるから、わたしも恥ずかしくなって、火照る顔を下に向けた。


熱い日差しが私達を照らす中、わたしは火照る身体と共にどんどん彼を好きになってゆく。


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